介護事業所を運営するにあたって、ケアマネジャーへの営業は大きな鍵となります。事業所について知ってもらい、信頼関係を構築できれば、新たな利用者を紹介してもらえるかもしれません。一方で、「どうやって営業すれば良いのかわからない」と悩む方も多いかもしれません。この記事では、ケアマネ営業のポイントや留意点をご紹介します。
ケアマネ営業をする前に備えておくこと
営業で重要なのは、入念な事前準備です。ここではケアマネへの営業前に備えておくべきポイントをご紹介します。
相手の特徴を把握しておく
まずは、「誰に」営業するのかを整理します。近隣地域にはどのようなケアマネジャーがいるのかを調べ、所属事業所や名前をリストアップします。ほかの事業所の方と情報交換する機会があれば、様子を聞いてみるのも良いでしょう。
また、ケアマネジャーへの訪問営業で聞き取ったプロフィールや情報、ニーズなどをリストに書き加えていくのも有効です。次回からの営業につなげられます。
自社の強みを分析しておく
次に「何を」営業するのかを考えます。大切なのは、事業所の魅力や特徴を簡潔に分かりやすく伝えること。ケアマネジャーは多くの営業を受けているため、印象に残るプレゼンテーションができなければ、埋もれてしまいます。
そこでおすすめなのが、SWOT分析です。
SWOT分析とは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4要素から自社を分析するフレームワークのことです。事業所の現状を把握し、コンセプトやアピールポイントを言語化する一助になります。
営業するための道具をそろえる
最後に、「どうやって」営業するのかを考えます。この際、パンフレットやチラシといった営業ツールが役立ちます。
サービス内容や魅力を視覚情報でわかりやすく伝えられるほか、ケアマネジャーの手元に残すことで、後日に見返したり、思い出したりしてもらうことが期待できます。詳しい情報が見られるよう、ホームページなどを整備するのも良いでしょう。
ケアマネジャーへの営業トーク内容
準備が整ったら、いよいよ営業へ。ここではトークのヒントをいくつかご紹介します。
自己紹介をする
まずは自分が「どこからきたのか」「誰なのか」をはっきりと伝えます。基本的なことではありますが、第一印象は非常に重要です。
姿勢を低くし、名刺を渡しながら「所属事業所・施設」「名前」「役職」を伝え、忙しい合間に時間をとってくれたケアマネジャーに感謝の気持ちを示しましょう。相手の目をしっかり見て、声のトーンや表情にも注意を払います。
自社の強みを伝える
単に事業所の概要を説明するだけでは、相手の印象には残りません。SWOT分析で整理した情報をもとに、自分の事業所ならではの独自サービスや特徴を重点的に伝えましょう。
例えば「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」「訪問入浴介護」などに取り組んでいる場合は、セールスポイントになる可能性があります。
もちろん、「経験や知識が豊富なスタッフがそろっている」「先回りしすぎず、利用者の自立を大切にしている」といった点も、伝え方次第で強い印象を残せます。
熱意も大切ですが、第三者のような冷静な視点を持っていたほうが、相手に伝わりやすい場合があることに留意しましょう。
自施設を利用するメリットを説明する
営業する際は、自身の事業所を売り込むのに必死になってしまうこともあるでしょう。ここで忘れてはならないのが、利用者目線です。
利用者や入居者にはどういったメリットがあるのか、どのように貢献できるのかを、わかりやすく説明することが大切です。
例えば「自分で料理がしたいという利用者さんを、○○をして支援しました」「利用者さんに○○といった変化がありました」など、具体的なエピソードを交えるのも良いでしょう。
ケアマネジャーへの営業するときのポイント
話す内容だけではなく、伝え方やアプローチ方法も大切です。いくつかポイントをご紹介します。
忙しいときを避けて訪問する
もし自分が営業される側になった場合を想像してみてください。ドタバタしているときに訪問営業へ来られてもじっくり話を聞けず、微妙な印象のまま終わってしまうことがあるでしょう。
ケアマネジャーが忙しいとされる月初や月末は極力避け、なるべく事前に電話などでアポイントを取ります。
また、実際訪問した際に「普段はどういった時期や時間帯だとご迷惑になりませんか」などと聞いてみて、次回からの訪問に活かすのも良いかもしれません。
相手にとって有益な情報を伝えるようにする
営業する際は、「利用者を紹介してほしい」「自分の事業所のことを知ってほしい」という気持ちを全面に出しすぎないことが大事です。伝え方によっては、「自分の事業所の利益しか考えていないんだな」と受け取られることがあります。
まずは、相手にとって有益な情報を提供することを心がけ、課題を解決する一助になりたいという姿勢を示しましょう。
例えば、ケアマネジャーが現在抱えているニーズや困りごとを聞き取るのが有効です。
「○○といったケースであれば、うちの事業所で○○をして対応できます」など、アピールにつなげられるかもしれません。
誠実に対応する
営業で何より大切なのは、信頼関係を築くことです。アピールに躍起になるのではなく、誠実な対応を心がけましょう。ケアマネジャーからの質問に答えられなかった場合は無理に取り繕わず、事業所に戻ってから確認し、正確な回答を伝えます。
この際に重要なのが、迅速さ。レスポンスが早いと、ケアマネジャーに「今後利用者を紹介しても、スムーズにやり取りできそうだな」との印象を持ってもらえるかもしれません。
ケアマネジャーは多忙ですので、どういった時間帯の連絡だと負担にならないかを事前に確認しておくのも良いでしょう。
アピールポイントは簡潔に伝える
ケアマネジャーとの信頼関係が構築できつつあると感じた段階で、自社のアピールポイントを簡潔に、分かりやすく伝えましょう。気持ちが先走ると、どうしても長々と話してしまいがちです。
しかし、日頃からたくさんの営業を受けていて、業務が忙しいケアマネジャーの気持ちを、一度想像してみましょう。
信頼できそうな人から、スパッとポイントだけ伝えられたほうが、印象に残りやすいです。「これだけは絶対に伝えたい」と思う最大のアピールポイントを、ひとつだけ用意しておきましょう。
まとめ
ケアマネジャーへの営業は、訪問介護事業の行方を大きく左右する大切な機会です。特に集客がうまくいっていない時期は、「何とかしてアピールしなきゃ」と焦ってしまうかもしれません。しかし、営業で大切なのは、信頼関係を構築していくこと。丁寧にコミュニケーションを取り、わかりやすく・簡潔にアピールポイントを伝えることを心がけましょう。
専門家によるコンサルティングを受ければ、事業所のアピールポイントや課題を、第三者の客観的な視点を交えて分析できます。営業ツールの準備や、会話する際に注意すべき点についても、具体的な助言を得られるでしょう。
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