施設介護におけるOJTとは?目的や成功させる方法を解説

スタッフの負担を軽減し、働きやすい職場にするためには、業務の改善が不可欠です。この記事では、介護業務を改善させるメリット、そして働きやすい環境にするためのアイデアを紹介します。


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近年、高齢化社会の進展に伴い、施設介護の重要性が一層浮き彫りになってきました。その中で、新たに施設介護の現場に足を踏み入れる人材を育成する手法として、OJT(On-the-Job Training)が注目されています。OJTは、従来の研修とは異なり、実際の現場での経験を通じて技術や知識を習得する手法です。本記事では、施設介護におけるOJTの概要やそのメリット、成功させる方法について詳しく解説します。

施設介護におけるOJTとは




OJTとは「On The Job Training」の略で、実際の業務を体験しながら仕事を覚えてもらう育成方法のことです。OJTを用いることで新人職員が早期に活躍できるように体験を通じて育てる役割を担っています。

施設介護におけるOJTは、実際の介護現場で利用者に対する経験を積むことを重視した研修方法です。

従来の座学やシミュレーションだけでなく、実際の利用者との接触や現場の業務に従事しながら、必要なスキルや知識を身につけていきます。これにより、実務に即した実践的な能力が高まり、現場での業務遂行が円滑に行えるようになります。

施設介護でOJTを行うメリット


ここからは施設介護においてOJTを行うことでのメリットを詳しくご紹介します。

現場での実践力が身につく



OJTは、現場での実際の業務に従事することから始まるため、座学を通じて学んだ介護理論だけでなく、利用者ごとに異なる実務の側面でのスキル習熟を促進できるメリットがあります。

利用者との対面コミュニケーションや介護手技など、実際の状況に適した対応が求められる介護現場においては、実践力を高めることが重要です。OJTを通じて、理論と実務を結びつける力が養われます。

例えば、ベッド⇔車いす⇔トイレへの移乗においても、利用者のADLの状態によって、ケアの手技は大きく異なります。OJTにより様々な利用者への対応を経験することで、経験値を高めるきっかけとなります。

職員に合わせた指導が可能



OJTでは、新人職員一人ひとりのスキルや知識に合わせた指導が実施しやすい利点があります。指導者は直接現場で指導を行うことから、新人の理解度や進捗に合わせて柔軟にフォローアップできます。これにより、効果的な学習をサポートし、新人職員の成長を促進させることが可能です。介護職員のバックグラウンドはさまざまです。

施設介護の経験者だけではなく、病院等で看護職としての経験者に加え、ご家族の介護経験を持つ方やまったくの介護未経験者もいます。それぞれの職員のスキルレベルは異なり、自社(自事業所)のケアのあり方と異なる場合もあります。

また「教えられる側」の元々の技術力や吸収力によっても、習熟度が変わってきます。個々人におけるOJTのカスタマイズを前提として指導を進めましょう。

教える側の技術や意識の向上も図れる



OJTを行う際には、指導者側に対してもメリットがあります。誰かに技術や知識を教える際は、指導者自身が深く理解しておかなければなりません。

チャールズ・アレンが提唱した『四段階職業指導法』のフレームワークに従い、OJTを進めますが、その際にはOJTの「3つの原則」がブレることなく事前準備を綿密に行って進めることが望ましいです。


■3つの原則
意図的:OJT担当者が指導の目的を理解していること
計画的:しっかりとした「育成計画」をもとに指導を行っていること
継続的:段階的、反復的に指導を実施していること

Show(やってみせる)
指導者(先輩職員)が実際に介護実技を行うことで、育成対象者(新人)にお手本を見せることで具体的なイメージを提供します。

Tell(説明する)
Showで見てもらった介護実技について、手順や『なぜそうするのか?』といった意味や背景などを具体的に説明することで理解度を高めます。この時点で質疑応答を綿密に実施することで習熟の促進につながります。

Do(実践させる)
育成対象者(新人)の理解度が高まったタイミングで、指導者(先輩職員)のもとで介護実技を実践してもらいます。この段階においては育成対象者(新人)の実技力のみで対応させることを第一の目標とし、出来不出来にかかわらず最後まで確認します。

Check(評価・指導する)
前の3つの工程をクリアしたら、本人の反省点や改善点、良かった点などのフィードバックを行います。このステップを丁寧に実施することで、理解度の把握や次の指導に向けた方向性が定まります。

施設介護でOJTを成功させる方法

施設介護でOJTを成功させるためには、明確な目的意思と施設内の職員全体が取り組みについて把握をしていることが最も重要な要素となります。その中でどういった手順を踏んでOJTを実施するのか下記手順をお伝えいたします。

目標と期限を決めておく



OJTを成功させるためには、明確な目標と期限を最初に定めておくことが重要です。

対象者自身が、「いつから自分一人で介護を担当するのか」が分かるため、独り立ちに備えて計画的にスキルを習得できるよう意識付けさせることにもつながります。

また、指導者側も目標達成に向けて、対象者に対して適切なサポートができます。

期限を定めておくことは、シフトを組む上でも必要なことです。OJTが終了すると戦力が1人増えるため、介護業務にも少し余裕が生まれることがあります。

職場全体が参加するようにする



OJTの成功には職場全体の協力が不可欠です。ほかの職員も新人のサポートに参加し、経験や知識を共有する環境を整えましょう。協力体制が整うことで、新人職員は安心感を得つつスムーズに成長できます。

また、OJTは対象となる新人職員の元々の力量によって習熟度の差異があることからも、前述したOJTの「3つの原則」がブレることがないように、あらかじめ個々の目標設定を全体が理解しておくようにしましょう。

学んだ業務に対しての振り返りを行う



『四段階職業指導法』が示している通り、OJTの過程において“Check”の項目に対して最大限の注力を行ってください。新人職員と指導者が定期的な振り返りによる評価と指導を行い、課題や成果を共有し、改善点や次のステップを一緒に考えることで、より効果的なOJTへとつながります。

OJTの手順を明確化しておく



OJTを成功させるためには、手順(カリキュラム)を明確にしておくことが必要です。どのようなスキルや知識をどの順序で学んでいくかを整理し、スムーズなフォローアップができるよう計画的に進めましょう。

さまざまな属性を持つ新人職員が入社すると思いますが、最も時間をかける必要がある属性の方を対象にしたカリキュラムを作成することで、均一な介護品質を担保し、それにより事業所側の評判を高める材料となります。

まとめ

施設介護におけるOJTは、実践的なスキルや知識を効果的に習得する手法として、多くのメリットを提供します。現場での実務経験を通じて、職員一人ひとりの成長を促進するだけでなく、指導者側の教育能力向上にも寄与します。OJTを成功させるためには、明確な目標設定や職場全体の協力体制、振り返りの機会を大切にし、計画的な進行を心掛けることが重要です。未来の介護現場を支える人材育成の一翼を担うOJTの活用は、ますます重要性を増していくことでしょう。

こういったOJTを用いた教育においては、カリキュラム作成やここに応じたカスタマイズにおいて専門性を要します。自事業所にとって最適解となるOJTを構築するためには、専門家によるコンサルティングを受けることが有用です。第三者的な観点からのアドバイスやチームビルディングに対して専門的な知識や豊富な経験によるノウハウを共有してもらえれば、今後の経営に役立ちます。

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