生活機能向上連携加算とは?算定要件や介護報酬改定内容について解説

スタッフの負担を軽減し、働きやすい職場にするためには、業務の改善が不可欠です。この記事では、介護業務を改善させるメリット、そして働きやすい環境にするためのアイデアを紹介します。


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生活機能向上連携加算とは、リハビリテーションの専門職らと連携することで得られる加算です。この記事では、加算の対象サービスや要件、メリットなどについてご紹介します。

生活機能向上連携加算とは?

生活機能向上連携加算とは、介護事業所において、外部のリハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など)や医師らと協働してアセスメントを行い、介護計画を作成することで加算される介護報酬です。

専門的な視点を取り入れ、利用者の自立支援や重度化防止を図ることを目的としています。

生活機能向上連携加算が対象となる介護サービス

加算が対象となる介護サービスは、以下の通りです。

    • ・訪問介護
    • ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
    • ・通所介護・地域密着型通所介護
    • ・認知症対応型通所介護
    • ・短期入所生活介護
    • ・小規模多機能型居宅介護
    • ・特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護
    • ・認知症対応型共同生活介護
    ・介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

生活機能向上連携加算の単位数・算定率


生活機能向上連携にはさまざまな方法があり、サービス種別によって細かな違いが見られます。(詳しくは後述の「生活機能向上連携加算の算定要件」をご参照ください)

例えば訪問介護では、ICTなどを活用し、専門職らの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けられる体制を構築する場合(生活機能向上連携加算Ⅰ)と、リハビリの専門職らが利用者を訪問して行う場合(生活機能向上連携加算Ⅱ)で単位数が変わります。単位数は以下の通りです。

・生活機能向上連携加算(Ⅰ) :100単位/月
・生活機能向上連携加算(Ⅱ):200単位/月

通所介護の場合も同じく、ICT等を活用した場合の加算Ⅰと、訪問した場合の加算Ⅱに分けられます。

・生活機能向上連携加算(Ⅰ) :100単位/月
・生活機能向上連携加算(Ⅱ):200単位/月(※ただし、個別機能訓練加算を算定している場合は100単位/月)

生活機能向上連携加算の算定要件

ここでは、訪問介護と通所介護における加算の要件について、それぞれ解説します。一見すると類似していますが、細かい点が異なるので、注意が必要です。

 

【訪問介護】生活機能向上連携換算(I)の算定要件

・ 訪問リハビリテーションか通所リハビリテーションを実施している事業所、又はリハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床数200床未満のものに限る。)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けること
・ 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師は、通所リハビリテーション等のサービス提供の場において、又はICTを活用した動画等により、利用者の状態を把握した上で、助言を行うこと
・サービス提供責任者は生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成(変更)し、当該助言を盛りこむこと
・これらを定期的に行うこと 等

 

【訪問介護】生活機能向上連携換算(Ⅱ)の算定要件

・訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、またはリハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床数200 床未満のものに限る。)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師が利用者宅を訪問し、サービス提供責任者と共同でアセスメントを行うこと
・生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成すること 等

 

【通所介護】生活機能向上連携換算(I)の算定要件

・訪問・通所リハビリテーションを実施している事業所またはリハビリテーションを実施している医療提供施設(病院にあっては許可病床数が200床未満のもの又は当該病院を中心とした半径4キロメートル以内に診療所が存在しない場合に限る。)の理学療法士等や医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けること
・理学療法士等や医師は、通所リハビリテーション等のサービス提供の場またはICTを活用した動画等により、利用者の状態を把握した上で、助言を行うこと
・助言を受けた上で、機能訓練指導員等が生活機能の向上を目的とした個別機能訓練計画を作成すること 等

 

【通所介護】生活機能向上連携換算(Ⅱ)の算定要件

・訪問リハビリテーションもしくは通所リハビリテーションを実施している事業所またはリハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床数200床未満のものに限る。)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、医師が、通所介護事業所を訪問すること
・リハビリ専門職等が、通所介護事業所の職員と共同でアセスメントを行うこと
・個別機能訓練計画を作成すること
・リハビリテーション専門職と連携して、個別機能訓練計画の進捗状況を3か月ごとに1回以上評価し、必要に応じて計画・訓練内容等の見直しを行うこと 等

生活機能向上連携加算のメリット


生活機能向上連携加算を活用することは、事業者側と利用者側、双方にメリットがあります。

・事業者側
アドバイスを受けることで支援の質を向上させることができ、利用者側のニーズにもより応えやすくなります。また、専門的な視点を踏まえた機能訓練を作成することも可能です。スタッフの教育やモチベーションアップにも期待できるでしょう。

・利用者側
リハビリ専門職が携わることで、安心感につながります。より効果的な支援を受けることで、重度化の防止や身体機能の維持・向上に期待できます。

生活機能向上連携加算の計画書作成について

加算を受けるには、リハビリ専門職や医師の助言にもとづいて、介護計画や個別機能訓練計画を作成する必要があります。計画書には、生活機能アセスメントの結果や、日々の暮らしで必要な機能向上に資する内容を記載しましょう。

主な記載例は、以下の通りです。

①利用者が日々の暮らしの中で可能な限り自立して行おうとする行為
②生活機能アセスメントの結果に基づき、①の内容について定めた3か月を目途とする達成目標
③ ②の目標を達成するために、経過的に達成すべき各月の目標
④ ②及び③の目標を達成するために訪問介護員等が行う介助等の内容

まとめ

加算は、事業所の経営にとって必要不可欠なものです。今回ご紹介した生活機能向上連携加算は、支援の幅が広がるといった大きなメリットがあります。ただ、算定要件や手続きによっては、負担が大きいと感じることもあるかもしれません。専門家によるコンサルティングを受ければ、加算のメリットや具体的な算定方法、必要書類などに関する助言が受けられます。

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