グループホームの医療連携体制加算とは?算定要件やポイントを解説

スタッフの負担を軽減し、働きやすい職場にするためには、業務の改善が不可欠です。この記事では、介護業務を改善させるメリット、そして働きやすい環境にするためのアイデアを紹介します。


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グループホームの医療連携体制加算は、入居者の医療ケアと健康管理の質を向上させるために非常に重要な要素です。この制度は、適切な医療サービスの提供によって入居者の健康状態を継続的に監視することを支援する目的で作られたものです。医療連携体制加算を活用している事業者は、より高品質な生活を提供することが可能となります。本記事では、グループホームにおける医療連携体制加算の算定要件や様々なポイントについて解説いたします。

グループホームの医療連携体制加算とは?

グループホームは、高齢者や身体障害者など、支援を必要とする人々にとって重要な居住施設です。これらの施設では、入居者の健康や医療ニーズを適切に管理し、提供することが求められます。

医療連携体制加算は、特定の条件を満たすグループホームに支給される補助金制度です。この記事では、医療連携体制加算の仕組み、算定要件、ポイント、および加算の種類について詳しく説明します。

医療連携体制加算の算定要件

医療連携体制加算とは、環境変化に対する影響を強く受けやすい認知症高齢者に対して、グループホームでの生活を継続できるよう、利用者の状態(ADL等)に応じた医療ニーズを整備している事業所を評価する加算です。下記に簡単にまとめていますのでご確認ください。

 

医療連携体制加算(Ⅰ)

 

①認知症対応型共同生活介護事業所の職員、または病院、診療所、訪問看護ステーションとの連携により、看護師(職員)を1名以上確保していること

②24時間連絡できる(オンコール)看護師の配置体制を確保していること

③利用者が重度化した場合の対応指針を定め、入居時に、利用者(またはその家族等)に対して、当該指針内容を説明して事前の同意を得ていること

④利用者への日常的な健康管理、通常時または状態悪化時における医療機関との連携・調整、看取りに関する指針整備を行っていること

 

医療連携体制加算(Ⅱ)

 

①認知症対応型共同生活介護事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置していること

②看護職員または病院・診療所・訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる(オンコール)体制を確保していること。
※看護職員が准看護師のみの場合、病院等の看護師にて上記連絡体制を確保していること

③算定日帰属月の前12ヶ月間において、喀痰吸引を実施状態または経管栄養が実施されている状態の利用者が1人以上入居していること

④利用者が重度化した場合の対応指針を定め、入居時に、利用者(又はその家族等)に対して、当該指針内容を説明して事前の同意を得ていること

⑤利用者への日常的な健康管理、通常時または状態悪化時における医療機関との連携・調整、看取りに関する指針整備を行っていること

 

医療連携体制加算(Ⅲ)

 

①認知症対応型共同生活介護事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置していること

②看護職員または病院・診療所・訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる(オンコール)体制を確保していること。

③算定日帰属月の前12ヶ月間において、喀痰吸引を実施状態または経管栄養が実施されている状態の利用者が1人以上入居していること

④利用者が重度化した場合の対応指針を定め、入居時に、利用者(又はその家族等)に対して、当該指針内容を説明して事前の同意を得ていること

⑤利用者への日常的な健康管理、通常時または状態悪化時における医療機関との連携・調整、看取りに関する指針整備を行っていること

図:医療連携体制加算の概要

医療連携体制加算で押さえるべきポイント

ここからは医療連携体制加算において押さえるべきポイントを記載しています。
いずれも必須事項となります。なかには現在よりも事務作業において工数を要する内容もあるため、自事業所のリソースと相談しながら導入に向けた検討を進めましょう。

また、こういった作業のために人員補充を行うこともこれからの経営のためには重要な事項となります。

 

1. 医師の指示書があること

 

医療連携体制加算を受けるためには、まず医師の指示書が必要です。この指示書は、入居者が必要とする医療ケアやサービスに関する具体的な内容を含んでいます。

医師の指示書は、入居者の健康状態やニーズに基づいて作成され、グループホームのスタッフによって適切に実施されるべき医療処置やケアの指針を提供します。

 

2. 個別支援計画に指示書に基づいた記載があること

 

医師の指示書があるだけでは医療連携体制加算を受けることはできません。指示書に基づいた具体的なケア計画が個別支援計画に記載されていることが求められます。

個別支援計画は、入居者の個々のニーズに合わせて作成され、医療ケアの提供方法やその実施スケジュールを明確に示すものです。

 

3. 文書による当該医療機関との契約を締結すること

 

医療連携体制加算を受けるためには、医療機関との契約が必要です。

この契約は、グループホームと医療機関との連携体制や医療サービスの提供に関する合意事項を明確に定めるもので、入居者の適切な医療ケアを確保するために不可欠です。

 

4. 本人の同意書があること

 

入居者本人の同意も、医療連携体制加算の要件として重要です。入居者は、自身の医療情報が共有され、医療機関との連携が行われることに同意する必要があります。この同意は、プライバシーと自己決定権を尊重するために不可欠なステップです。

 

5. 看護記録を事業所に保管していること

 

医療連携体制加算を受けるためには、入居者の医療情報や看護記録を適切に管理・保管していることが必要です。

これにより、必要な際に医療機関と情報の共有がスムーズに行え、入居者の健康状態のモニタリングが効果的に行われます。

グループホームにおけるさまざまな加算

以下の医療連携体制加算は、グループホームが入居者のニーズに合わせた高品質な医療ケアとサービスを提供できるよう支援し、入居者の健康と福祉の向上に貢献します。

必要な加算を適切に活用することで、入居者への最適な支援が実現します。それぞれの加算内容について簡単に纏めていますので自事業所で活用できるものが無いかご検討ください。

 

①看取り介護加算

 

看取り介護加算は、入居者が終末期の状態にある場合に支給されます。終末期の入居者に対する緩和ケアや痛みの管理など、特に看取り介護が必要な場合に利用されます。

【例】
認知症対応型看取り介護加算1 死亡日以前31日~45日以下 72単位/日
認知症対応型看取り介護加算2 死亡日以前4日以上30日以下 144単位/日
認知症対応型看取り介護加算3 死亡日以前2日又は3日 680単位/日
認知症対応型看取り介護加算4 死亡日 1280単位/日

 

②認知症専門ケア加算

 

認知症専門ケア加算は、認知症に関する専門的な研修を修了した職員を配置し、認知症の利用者を受け入れ、認知症ケアに関する会議や研修などの取り組みを実施している事業所を評価する加算です。

【例】
認知症専門ケア加算(Ⅰ) 3単位
認知症専門ケア加算(Ⅱ) 4単位

 

③生活機能向上連携加算

 

生活機能向上連携加算は、入居者の生活機能を向上させるための連携体制の強化を支援します。リハビリテーションや運動プログラム、日常生活のスキル向上などに利用されます。またICTの活用により外部のリハ専門職が事業所を訪問せずに利用者の状態を把握・助言する場合に評価対象となります。

【例】
認知症対応型生活機能向上連携加算Ⅰ 100単位/月(3月に1回を限度)
認知症対応型生活機能向上連携加算Ⅱ 200単位/月

 

④栄養管理体制加算

 

栄養管理体制加算は、管理栄養士が介護職員等への助言・指導を行い、入居者の栄養状態を管理・向上させるための取り組みを支援します。栄養指導、食事のバリエーション、栄養サポートの充実が含まれます。

【例】
認知症対応型栄養管理体制加算 30単位/月

 

⑤口腔・栄養スクリーニング加算

 

口腔・栄養スクリーニング加算は、入居者の口腔ケアと栄養管理を重視します。算定条件として利用中6か月ごとに利用者の栄養状態確認を行い、栄養状態に関する情報(当該利用者が低栄養状態の場合にあっては、低栄養状態の改善に必要な情報を含む。)を担当の介護支援専門員に提供していることが必要です。

【例】
口腔・栄養スクリーニング加算 20単位/回(6月に1回を限度)

 

⑥科学的介護推進体制加算

 

科学的介護推進体制加算は、最新の介護技術や研究を導入し、入居者への最適な介護を提供するための取り組みを支援します。介護の質を向上させるための研修や専門知識の導入に利用されます。LIFE (ライフ)を用いた厚生労働省へのデータ提出が必要となります。

【例】
認知症対応型科学的介護推進体制加算 40単位/月

 

⑦サービス提供体制強化加算

 

サービス提供体制強化加算は、サービス提供の質と効果を向上させるための取り組みを支援します。スタッフのトレーニング、適切な設備の整備、サービスの多様化などに使われます。

【例】
認知症対応サービス提供強化体制加算Ⅰ 22単位/日
(介護福祉士有資格者が70%以上、または勤続10年以上の介護福祉士が25%以上)

認知症対応サービス提供強化体制加算Ⅱ 18単位/日
(介護福祉士有資格者が60%以上)

認知症対応サービス提供強化体制加算Ⅲ 6単位/日
(介護福祉士有資格者が50%以上、または常勤が75%以上、OR勤続7年以上が30%以上)

 

⑧介護職員処遇改善加算

 

介護職員処遇改善加算は、介護職員の処遇改善に対する支援を提供します。賃金の向上や福利厚生の充実など、介護職員の待遇向上に使われます。

【例】
認知症対応型処遇改善加算Ⅰ  1月につき +所定単位×111/1000
認知症対応型処遇改善加算Ⅱ  1月につき +所定単位×81/1000
認知症対応型処遇改善加算Ⅲ  1月につき +所定単位×45/1000

 

⑨介護職員等特定処遇改善加算

 

介護職員等特定処遇改善加算は、特定の介護職員に対する特別な処遇改善を支援します。特定の資格やスキルを持つ介護職員に対する報酬の向上や特典の提供などが含まれます。

【例】
認知症対応型特定処遇改善加算Ⅰ 1月につき +所定単位×31/1000
認知症対応型特定処遇改善加算Ⅱ 1月につき +所定単位×23/1000

まとめ

グループホームの医療連携体制加算は、入居者の健康管理と医療サービスの提供を向上させるために重要な補助金制度です。加算を受けるためには、医師の指示書や個別支援計画の整備、医療機関との契約、入居者の同意書の取得、看護記録の適切な管理が必要です。

また、医療連携体制加算の種類には異なる要件があり、入居者の医療ニーズに合わせて適切な加算を受けることが求められます。グループホーム経営者やスタッフは、これらの要件と加算の種類を理解し、入居者の健康と福祉を最良の方法でサポートするために努力するべきです。

専門家によるコンサルティングを受けることで、事業所にマッチした加算の取得や、そのために必要な準備など明確な助言が得られます。事業所の強みや課題を、第三者の客観的な視点で分析できるのも利点です。

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