【独立開業の方必見】訪問介護事業計画書の記入例・記載項目は?作成時のポイントも解説

スタッフの負担を軽減し、働きやすい職場にするためには、業務の改善が不可欠です。この記事では、介護業務を改善させるメリット、そして働きやすい環境にするためのアイデアを紹介します。


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訪問介護事業を独立開業することは、高齢化社会においてますます需要が高まっているビジネスのひとつです。しかし、独立開業を行う以上、事業が成功すること最大の目的となります。そのためにはしっかりとした事業計画が不可欠です。

特に、訪問介護事業計画書は、事業の方向性を明確にして資金調達を行い、また指定申請を進める上でも重要な書類となります。本記事では、訪問介護事業計画書の記入例と記載項目、作成時のポイントについて詳しく解説いたします。これを参考に、訪問介護事業の独立開業に向けたロードマップを描いてみましょう。

訪問介護事業計画書を作成するタイミング


訪問介護事業計画書を作成するタイミングは、独立開業を検討し、実行に移す段階です。介護サービスとして事業を開始するためには自治体からの指定を受けなければなりません。

そのため、事業立ち上げにおける資金調達や指定申請の段階において作成されていることが求められます。

訪問介護事業計画書の記載項目

訪問介護事業計画書は、詳細な情報と戦略的な計画を提供する文書です。以下に、典型的な記載項目を示します。これらの項目を具体的かつ具体的に記入することが成功への鍵です。

それぞれの項目に対して解説していきます。


事業概要


事業の概要: 事業の種類やサービス内容を明確に説明します。介護事業を実施する場合、その対象となる利用者層や実際に提供を行うサービス内容やその範囲を記載します。

事業の目的: 『なぜ、この事業を始めるのか?』といった目的に加えて、市場環境や自分の事業の特筆すべきコンセプトや価値観を記載します。


会社概要


会社名と所在地: 事業の法的な情報を提供します。会社名、住所、法人形態などが含まれます。
設立経緯: 会社の設立経緯や動機、その背景を説明し、なぜ該当する介護事業を選んだのかを記載します。


組織図・執行体制


組織図: 会社の組織構造を図示し、役職や責任を明示します。すべての部署や構成職員をわかりやすく明記しておくことが重要です。

執行体制: 事業の実行における役割と責任を明確に説明します。経営陣、スタッフの配属、管理体制などが含まれます。ここには従業員の職種・資格・人数についても記載します。


経営方針・目標


経営方針: 事業のビジョン、ミッション、価値観を明確に示します。

目標設定: 経営目標や成果指標を設定し、達成するための具体的な戦略やアクションプランを記載します。SWOT分析を用いて、自社の経営分析を行い、経営戦略を明確にしていきましょう。


収支計画


収入の見込み: サービス提供によって見込まれる収入源を記載します。訪問回数、料金体系などを考慮します。支出の見込み: 人件費、施設の運営費、広告宣伝費などの予想支出を詳細に計画します。

収支の見込み: 収入と支出のバランスを示し、事業の持続可能性を評価します。


資金計画


資金調達計画: 資金調達の方法(借入、出資、助成金申請など)とその詳細を説明します。収入見込みに対する借入返済想定額等の記載があると銀行融資等を受ける際に訴求力の高い書類となります。

予算と資金配分: 資金の使途と配分計画を明確に示します。開業費用、運営資金、成長のための資金などを考慮します。


採用計画・研修計画


スタッフ採用計画: どのような人材を募集し、どのポジションに配置するかを記述します。

研修計画: スタッフの研修やスキル向上プログラムを詳細に計画します。介護職員の資格やスキル向上が大切です。

訪問介護事業計画書の目的

訪問介護事業計画書は、以下の主要な目的のために作成されます。


事業の見通しを立てるため


訪問介護事業計画書は、将来の事業運営に関するロードマップを提供し、方向性を示します。計画を通じて事業の長期的な発展を見越した計画を立てることが重要です。

介護報酬は、サービス提供後、約2ヶ月後に入金される仕組みであることからも事業計画書の作成を通じて資金計画も立てることで、資金ショートを起こすリスクも把握できます。

また、事業計画書の作成を通じて、事業内容が明確になることで事業の見通しを立てることができ、下記のようなメリットも期待できます。

  • ・事業主としての事業の方向性を明確にできる
  • ・需要のあるサービスであるかどうか把握できる
  • ・事業展開を行う上での問題点や課題、不足している要素を客観的分析できる
  • ・将来における展望や発生が懸念されるリスクを事前に想定できる

事業計画書の作成を通じて資金計画も立てることで、資金ショートを起こすリスクも軽減できるでしょう。

他にも、介護施設の拠点となる立地から利用者の需要予測などを行うことで、安定して収益を上げるためのビジョンを整理できます。


指定申請書を提出するため


訪問介護事業を開始するには、地域や政府の指定を受ける場合があります。事業計画書は、指定申請書の基盤となります。


金融機関から融資を受けるため


資金調達の一環として、金融機関から融資を受ける必要があるかもしれません。事業計画書は、融資申請の際に必要な資料となります。自己資本だけで事業を興すことは、介護報酬制度を利用して収益をあげる介護事業においては難しい場合が往々にして想定されます。その場合、金融機関からの融資が必要となります。

地代や人件費等を含めた運転資金確保に置ける審査判断においては「信用力」「将来性」「計画性」が重視されます。

計画書にどれだけ入念に市場分析をしているか、自社のビジョンや将来性を示しているかが重要な要素です。これらがしっかりと記載された事業計画書を提出できれば、信頼が得やすくなるでしょう。


方向性をスタッフに示すため


スタッフや協力者に事業の方向性を明確に伝え、共通のビジョンを共有するためにも事業計画書が役立ちます。従業員全員で事業の目的や将来のビジョンを共有できれば、目的を達成しやすくなるでしょう。

また、求める人材像を明確に示せば、採用担当者がマッチした人材を採用しやすくなるメリットも期待できます。

事業の目的や将来性がイメージできれば、スタッフも安心して働くことが可能です。従業員が目的意識を持って働くことで、質の高い介護サービスが提供できるようになるでしょう。


訪問介護の事業計画書を作成する際のポイント


訪問介護事業計画書を成功させるためには、以下のポイントを考慮することが重要です。

リサーチとデータ: 市場調査や競合分析を行い、事業のニーズと機会を理解します。客観的なデータをもとに計画を立てましょう。

具体性と詳細: 記述項目を具体的かつ詳細に記入し、抽象的な表現を避けます。具体的な数字や目標を設定します。

現実的な目標設定: 目標は達成可能で現実的なものであることを確認しましょう。無理な目標を立てないように注意します。

プロフェッショナルの協力: 訪問介護事業に精通した専門家やコンサルタントの助言を受けることが役立ちます。

柔軟性と調整: 事業計画は変更されることがあります。変化に対応できるように柔軟性を持ちましょう。

まとめ

訪問介護事業計画書は、独立開業を成功させるために不可欠な書類です。事業のビジョン、計画、資金調達、スタッフ育成、成長戦略などを明確にすることで、事業の持続性と成功を確保できます。計画書作成には時間と労力がかかりますが、着実なステップを踏むことで、訪問介護事業を独立開業するための基盤を築くことができます。成功への第一歩を踏み出しましょう。

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