利用者に寄り添う支援の仕方とは?コミュニケーションの取り方やコツを紹介

スタッフの負担を軽減し、働きやすい職場にするためには、業務の改善が不可欠です。この記事では、介護業務を改善させるメリット、そして働きやすい環境にするためのアイデアを紹介します。


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事故が起こらないよう注意を払いながら、さまざまな日常業務に追われる介護の仕事。忙しい毎日を送っていると、ふと「利用者に寄り添えているのだろうか」と思うことがあるかもしれません。この記事では、ポイントを解説していきます。

介護施設の利用者に寄り添い支援する重要性とは



よく「相手に寄り添う支援を」と言われますが、そもそもなぜ大切なのでしょうか。「寄り添う」とは、どういうことなのでしょうか。

利用者の中には、自分の意思を明確に伝えるのが難しい方や、周囲から伝えられた情報をすぐに理解できない方もいます。Aさんとのコミュニケーション方法が、Bさんにとって良いとは限りません。ボタンのかけ違いが起きると、利用者側は「自分の意思が無視されている」と感じ、大きなストレスを抱えることになります。

相手を尊重すること、そして一人ひとり に合わせたコミュニケーションを取ることは、「寄り添う支援」の基本といえるでしょう。丁寧なコミュニケーションとは、相手のニーズや性格をつぶさにくみ取っていく作業です。

この積み重ねによって、利用者の満足度は高まり、信頼関係が強固なものになっていきます。トラブルや事故の防止につながる場合もあります。介護の質そのものも高まり、良い循環が期待できるでしょう。

介護施設の利用者に寄り添うためのコミュニケーション方法

では、具体的にはどのようなコミュニケーションが重要なのでしょうか。ここでは言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションに分けて、それぞれの主なポイントを解説していきます。


会話など言葉を使用する方法


介護現場で欠かせないのが、声掛けや挨拶、日常会話といった言語的コミュニケーションです。

一つ目のポイントは「話し方」。適切な言葉遣いはもちろんのこと、ハキハキと明るく話すことを心掛けましょう。相手によって話すスピードやトーンを変えるのも良いでしょう。

また、利用者の中には、体の不調などで悲観的になっている方もいます。なるべく肯定的な言葉を使うことで、相手の心のケアにつながることもあります。

そしてもう一つ大切なのが「聞く姿勢」。話すだけでなく、聞くことも大切なコミュニケーションです。目線を合わせ、相手の話したことを繰り返したり、適度に相槌を打ったりするなど、態度で「あなたの話を聞いていますよ」と示します。

中には、すぐに言葉が出てこない利用者もいるかもしれません。急かさずにじっくり待ち、相手のペースを尊重しましょう。聞く姿勢ひとつで、利用者が居場所を感じられることがあります。


言葉以外の視覚や聴覚を利用する方法


実は話し手が聞き手に与える情報のうち、言語による情報はわずか7%。90%以上は、非言語的な情報だと言われています。

非言語的な情報には、身振りや表情、視線、動作などが含まれます。髪型や爪、服装を清潔に保つことも、コミュニケーションの一環といえるでしょう。ちょっとした態度に敏感な利用者もいます。無意識に発している非言語的な情報があるかもしれませんので、一度見直してみましょう。

また、利用者から発せられる非言語コミュニケーションに気を配るのも重要です。自分の意思や心身の不調を、言葉ではっきり表現できない人もいます。うわの空になっている、眉間にしわを寄せた、笑顔が減ったなど、些細な変化をなるべく細かく観察します。

日頃から利用者の表情や行動にアンテナをはり、相手の状況に合わせたコミュニケーションを心がけましょう。

介護施設の利用者に寄り添い支援するためのコツ

寄り添い方は相手や状況によってさまざまですが、ここではいくつかポイントを紹介していきます。


相手に共感する


自分が言ったことを頭ごなしに否定されたら、誰だって嫌なものです。仮に利用者の発言が間違っていたとしても、すぐに訂正や説得をせず、いったん受け止めることが大切です。

中には認知機能や記憶力の低下で、自信を失っている方もいます。「○○さんはそう感じたんですね」「そうだったかもしれませんね」と応じたあと、会話を続けるようにしましょう。「自分の思いをしっかり聞いてくれる」という気持ちは、安心感や信頼感につながります。


沈黙があっても気にしない


誰かと一緒にいて沈黙が流れると、「何か話さなきゃ」とあせってしまうことがあるかもしれません。でも、介護施設の多くは生活の場。話したい人も、あまり話したくない人もいます。

もちろん、その日によって気分も変わります。会話せず、ただ空間を共にすることも、一種のコミュニケーション。一緒にお茶を飲んだり、テレビを見たりと、一緒にいる時間を積み重ねていきましょう。その間、相手の行動をよく観察し、好きなものや苦手なものを推測するのもポイントです。


相手に合った方法で寄り添う


「○○をすれば相手に寄り添った支援ができる」ということはありません。寄り添い方は、人それぞれ。利用者の性格や健康状態、その日の状況によっても大きく変わります。

もちろん、人間関係ですから、職員と利用者の相性もあります。相手を「利用者」と一緒くたにせず、ひとりの人間として理解しようとすることが重要です。

例えば、高齢者だからといって演歌や時代劇が好き、とは限りません。なるべく先入観を持たずに、相手を観察したり、会話を重ねたりすることで、相手のことを一つひと つ知っていきましょう。その中でもポイントとなるのが、利用者がどのような人生を歩んできたのか。彼・彼女の歴史を教えてもらうことで、相手に合った接し方を模索していきます。


相手のペースにあわせる


日常業務でドタバタすると、どうしても利用者一人ひとりのペースを忘れがち。ここで一度基本に立ち返って、相手のペースに合わせた予定を立ててみましょう。

このときに、急かしたり、先回りしたりしないのがポイント。利用者が何かやろうとしている思いを尊重し、ゆっくりと見守りましょう。


相手を安心させるようにする


自分のパーソナルスペースに他者が入ってくることに対して、不安を抱えている利用者は少なくありません。

どうすれば利用者が安心感を持って過ごせるか、心がけましょう。他の職員と細かく情報共有し、困ったら相談するのも良いでしょう。


介護施設の利用者に寄り添うときの心構え


そもそも介護は、身体などの機能の回復を目指すだけのものではありません。その人の尊厳が守られ、自分らしく生きられる環境を整えることも、とても重要なポイントです。先回りして、何でも手助けすれば良いというわけではありません。

「自分で○○ができた」「自分の意思で○○を選べた」という体験は、まさに尊厳に関わるものです。目の前にいる利用者はどんな支援を必要としているのか、本人は何をできるようになりたいのか、そのためには何をすべきか、といった視点が大切です。

まとめ

毎日忙しい介護の仕事だからこそ、利用者に寄り添った支援ができているかどうか、一度立ち止まって見直すことが有用です。職員会議で情報共有しあい、悩みを相談しあうのも良いでしょう。

コンサルティング会社など、外部の視点を取り入れるのも重要です。専門家によるコンサルティングを受ければ、職員だけでは気づけなかった、第三者の観点からアドバイスを得られます。また、専門的な知識や豊富な経験によるノウハウを共有してもらえれば、今後の経営に役立ちます。

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