訪問介護の開業に失敗しやすい要因とは?対応策を詳しく紹介

スタッフの負担を軽減し、働きやすい職場にするためには、業務の改善が不可欠です。この記事では、介護業務を改善させるメリット、そして働きやすい環境にするためのアイデアを紹介します。


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高齢化による介護サービスの需要が高まる中、異業種からの介護業界への参入も多くなっています。しかし、介護業界独自のルールにより、開業に失敗するケースも多く見受けられます。ここでは、訪問介護の開業に失敗しやすい原因と、その対応策を詳しく解説します。

訪問介護の開業に失敗する原因とは?

高齢化に伴い、介護サービスを必要とする高齢者の方もますます増えつつあります。異業種から介護業界へ参入するケースも多く、事業所の数は増加しています。一方、介護業界には他業種では見られない独特の制約があり、開業に失敗する例も後を絶ちません。

この記事では、訪問介護開業に失敗する主な原因を4つに絞って解説します。

開業資金が不足している

開業失敗の一つ目は、開業資金の不足です。訪問介護事業は比較的資金をかけることなく開業が可能ですが、とはいえ総額800〜1,000万円程度の資金は必要とされています。

介護業界には独自の仕組みがあり、介護報酬という税金を元に運営がなされます。したがって、実際にサービスを提供した月日と、国からの介護報酬の支払いに時間的なタイミングのずれが生じます。

具体的には、例えば9月にサービス提供を行うと、その介護報酬が国民健康保険団体連合会から振り込まれるのは11月半ば~下旬となります。

こうしたことから、介護業界で開業時に必要な資金としては、この資金収支が同じ状態になる2ヶ月~3ヶ月分を補填するための資金だけではなく、資金収支が同じになった状態での“月次資金4ヶ月分程度”が必要となります。

人材が確保できていない

介護サービスを必要とする人たちが増える中、介護サービスや介護人材の不足が深刻化しています。厚生労働省によりますと、2019年度における訪問介護員の有効求人倍率は「15.03倍」となっています。

一方で、訪問介護の指定基準では、訪問介護員2.5人を採用しなければなりません。開業のステップは、①法人の設立、②物件や設備の準備、③人員の確保、④指定申請となっていますが、③の人材の確保が難しいのが現状です。

出典:「訪問介護・訪問入浴介護」(厚生労働省)

利用者を集められない

開業当初は、利用者も少ないのが現状です。介護業界では、利用者は主にケアマネージャーからの紹介になりますが、当然ながら開業当初は認知度も低く、ケアマネージャーとの信頼関係も築けてはいません。

介護報酬の入金は申請から2~3ヶ月程度の期間がかかり、当初は少額であることも予想されます。そのため、利用者の獲得が遅れれば遅れるほど、必要な開業資金は増加します。

ノウハウが不足している

介護業界は国の税金が主な収入となるため、他の事業とは異なり、法令や制約が定められています。介護業界の専門知識が不足している状況で開業してしまうと、失敗の原因となります。

また、介護業界は介護を必要とする高齢者に対するサービスであるため、ケアや事務におけるルール等もしっかりと決められています。こうした知識が従業員に浸透していなければ、業務ミスが多発することになり、利用者やケアマネージャーからの信頼を失う結果となるでしょう。

訪問介護開業に失敗しないための対策

ここからは、訪問介護の開業に失敗しないための対応策を解説します。

【対策1】新規開業資金を活用する

開業資金を集めたい場合、「新規開業資金」の活用も視野に入れましょう。新規開業資金とは、日本政策金融公庫による創業関連融資で、新事業を始めるための設備資金および運転資金として活用できます。

融資限度額は7,200万円で、うち運転資金が4,800万円となります。

【対策2】運転資金に助成金を活用する

返済の必要がない厚生労働省による助成金の活用も重要です。条件を満たすことで、運転資金に活用できます。

例えば、介護労働者の労働条件・職場環境の向上を目的に設置された「介護労働環境向上奨励金」などがあります。ただし、申請には実施計画書等が必要です。

補助金・助成金の知識がない場合は、介護専門のコンサルタントに依頼して経営や助成金についてのアドバイスをもらうと良いでしょう。

【対策3】スタッフの労働環境を整える

資金がなければ始まりませんが、介護の要はもちろん介護職員です。しかし、介護職員の労働条件は社会的にも問題となっているように、「仕事内容のわりに賃金が低い」「身体的負担が大きい」のが現状です。介護業界は離職率も高く、退職理由の上位には常に「職場の人間関係」がランクインしています。

事業所においては、離職を食い止め、従業員に働きがいを持ってケアに当たってもらうことは何より重要です。それにより、ケアサービスの内容向上も図ることができるため、スタッフの労働環境を整えることは必須です。

そのためにも、労働環境のみならず、スキルアップするためのサポート体制を整えることも大切です。

【対策4】ICTを導入する

世界的にICTの利用率は高まっていますが、人対人の介護業界では、ICT化に後れを取っているのが現状です。しかし、深刻化する人材不足、それによるスタッフへの身体的・精神的過重負担を防ぐためにもICTの利用は欠かせません。

介護ソフト等を導入し、スタッフの業務効率化を図ることで、本来業務であるケアサービスに集中でき、利用者満足度も上がるでしょう。

【対策5】ターゲットに合った営業方法を検討する

利用者の獲得には営業が重要です。認知度を高めるために、ターゲット層にあった営業を行いましょう。パンフレットやホームページ、SNSを充実させるほか、地域の集まりや地域包括支援センター等にも足を運ぶことが重要です。

利用者は年齢層が高いため、チラシや電話などで丁寧に営業することも大切です。名前や事業内容を認知してもらい、信頼を得ることに努めましょう。

【対策6】設備投資をしっかり行う

訪問介護事業では、人員・設備・運営基準をきちんと把握し、事業を運営することは必須です。適切な運営を行わない場合、運営取り消しの措置が課されることもあります。

訪問介護の運営においては、「管理者」1名以上、「サービス提供責任者」1名以上、「訪問介護員(ホームヘルパー)」常勤換算2.5人以上が基準となり、利用者の増加に伴い配置基準も増加します。

また、設備基準に関しても、事務所・相談室・手洗い場・備品等、国から定められた条件があります。運営基準も、業務運営・訪問介護サービスが定められていますので、確認を怠らないよう気を付けましょう。

【対策7】コンサルタントに相談する

異業種からの参入等で、ノウハウが不足しているのであれば、介護経営に詳しいコンサルタントに相談するのがおすすめです。

新規参入時、ならびに俯瞰的な視点から継続的に経営についてアドバイスをもらえるため、介護業界におけるコンサルタントの利用は高まりつつあります。

まとめ

訪問介護を開業するに当たり、悩みの経営者も多くおられると思います。介護業界は他の産業と異なる特性があるため、介護業界のことをよく知る専門家に相談するのがベストです。専門家によるコンサルティングを受ければ、第三者的な観点から有益なアドバイスを得られます。また、専門的な知識や豊富な経験によるノウハウを共有してもらえれば、今後の経営に役立ちます。

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