介護ロボット補助金制度とは?金額と補助金の申し込み方法を紹介

スタッフの負担を軽減し、働きやすい職場にするためには、業務の改善が不可欠です。この記事では、介護業務を改善させるメリット、そして働きやすい環境にするためのアイデアを紹介します。


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AIが加速度的に社会に浸透しつつある現在、人対人の介護業界においても、AIの導入は他人ごとではありません。人材不足が介護業界を苦境に立たせている昨今では、スタッフの負担軽減を鑑み、今後ますます介護ロボットの導入を視野に入れる事業所も増えてくるでしょう。

この記事では、近い未来を見据え、介護ロボット補助金制度について紹介します。

補助金制度で対象となる介護ロボット

昨今、介護業界の人手不足・負担軽減の観点から、国による介護ロボットの導入支援が進んでいます。補助金で対象となるのは、センサー感知や制御等のロボット技術が使われており、利用者の自立や介護者の負担軽減をサポートするロボットです。

介護ロボットの種類としては、以下のとおりです。

  • ・移乗介助
  • ・移動支援
  • ・排泄支援
  • ・見守り・コミュニケーション
  • ・入浴支援
  • ・介護業務支援

ここでは、それぞれの特徴について詳しく解説します。

具体的な製品は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構が運営している「介護ロボットポータルサイト」で紹介されています。ぜひチェックしてみてください。

移乗介助

移乗介助ロボットには、介助者のパワーアシストを行う装着型の機器と、介助者が利用者を抱え上げる際のパワーアシストを行う非装着型の機器があります。

装着型では、介護者自身がスーツ・バックパックを装着し、ロボットのパワーが介護者の移乗に掛かる負担を軽減します。

非装着型では、利用者が介助者だけでなくロボットに体を預けるなどして行動活力を向上させ、介護者の腰痛低減を図ります。

移乗介助ロボットは、装着型・非装着型ともに今後ますます開発が期待されている分野となっています。

移動支援

移動支援ロボットには、屋外用と屋内用があります。

屋外用では外出時の利用者歩行支援機器が多くあります。転倒予防や歩行を補助する移動支援となっていて、荷物の運搬などもサポートしてくれます。

屋内用では、特にトイレの移動トイレ内での姿勢保持、立ち座りをサポートする歩行支援機器が多くあります。

排泄支援

排泄支援では、個室にて、利用者の身体状況に合わせて設置位置を変更できる機器、超音波を利用するなどして排泄のタイミングを予測する排泄予測機器などがあります。

利用者、介護者双方のQOLの向上に資するために、さまざまな機器が開発されています。

見守り・コミュニケーション

見守りロボットは、スタッフによる夜間の巡回頻度が減り、夜勤時の負担を軽減することから導入実績も多くなっています。

とりわけ介護施設では、ベッドセンサーにより、利用者が起き上がったり、ベッドから離れた際にそれを検知し、担当者に知らせる外部通信機能を備えた見守りシステムの導入が多くなっています。

在宅介護においても転倒検知センサーや外部通信機能を備えた機器、高齢者とのコミュニケーションにロボット技術を活用した生活支援機器があります。

入浴支援

入浴支援では、浴槽の出入りに関わる動作をロボット技術でサポートする機器があります。

介護業務支援

介護業務支援では、ロボット介護機器を用いて介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、介護記録システムなどにそれらの情報を取り込んで、高齢者に必要な支援を提供する機器があります。

介護ロボットの補助金額はどれくらい?

介護ロボット補助金の実施主体は都道府県であり、補助率は都道府県により設定されています。

補助額の上限も介護ロボットの種類により異なり、移乗支援(装着型・非装着型)、入浴支援では上限100万円となり、それ以外の介護ロボットでは上限30万円です。見守りセンサーの導入に伴う通信環境整備では、1事業所当たりの上限は750万円となります。

なお、補助金の申請に当たっては一定の要件(導入計画書において目標とする人員配置を明確にした上で、見守りセンサーやインカム、介護記録ソフト等の複数の機器を導入し、職員の負担軽減等を図りつつ、人員体制を効率化させる場合)を満たすことが求められています。

出典:「令和5年度予算概算要求の概要(老健局)の参考資料」(厚生労働省)

介護ロボット補助金の対象事業

介護ロボット補助金では、対象となる事業が定められています。都道府県により異なるため、該当の地域でチェックしてください。ここでは、神奈川県を例にとり、あらましをご紹介します。

【神奈川県の例】
神奈川県では、以下の2つの条件を満たしている場合に、交付対象者となります。
1 神奈川県内の介護サービス事業所・施設
2 介護保険法(平成9年法律第123号)による指定又は許可を受けている
(1)居宅サービス事業者(居宅療養管理指導、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売を除く。)
(2)地域密着型サービス事業者及び介護保険施設の開設者(居宅介護支援事業者、介護予防サービス事業者、地域密着型介護予防サービス事業者及び介護予防支援事業者は対象外。)

出典:「介護ロボット導入補助金の交付」(神奈川県)

介護ロボット補助金の申し込み方法

介護ロボット補助金の申し込み方法は、自治体によってさまざまです。詳しくは当該地域の自治体HP等でチェックしてください。ここでは、大まかな流れをご紹介します。

  1. 申請事業所は、業者より介護ロボットを導入した際の見積もりを取る
  2. 自治体に補助金交付申請書と、その他必要書類を提出する
  3. 自治体側にて、補助金の要件に適合するかの審査を行う
  4. 適合した場合、申請事業所は交付決定の通知を受け取る
  5. 介護ロボットの発注・契約・納品・支払をする
  6. 期限までに自治体に実績報告書を提出する
  7. 自治体にて実績報告書の審査を経て、補助金が交付される
  8. 一定の期間にわたり、使用状況を報告する

補助金の交付が決定した後に介護ロボットの導入を行いましょう。決定前の発注・契約は補助金の対象外となるので注意してください。

介護ロボット以外で業務効率化に役立つ補助金制度

ここからは、介護ロボット以外で業務の効率化に役立つ補助金制度、「ICT導入支援事業」「IT導入補助金」について説明します。

ICT導入支援事業

ICT導入支援事業は、ソフトウェアやクラウドサービスなどデジタル技術を活用し、業務の効率化を図る制度です。厚生労働省が所管しており、対象は介護事業所に限定されています。

補助金の対象となるのは、「介護ソフト」「スマートフォンやタブレット端末」「wi-fiルーター等」「インカム等」などで、補助金の上限額は職員数に応じて都道府県が設定しています。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業庁が所管しており、対象は中小企業や小規模事業者等となっています。ITの導入にかかった費用の1/2、最大450万円まで補助を受けることができます。

また、IT導入支援事業者による申請・手続きサポートが受けられます。

まとめ

介護事業所の業務改善について課題がある経営者も多くおられると思います。介護業界は他の産業と異なる特性があるため、介護業界のことをよく知る専門家に相談するのがベストです。専門家によるコンサルティングを受ければ、第三者的な観点から有益なアドバイスを得られます。また、専門的な知識や豊富な経験によるノウハウを共有してもらえれば、今後の経営に役立ちます。

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