社会福祉法人設立の流れとは?手続きや要件について解説

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社会福祉法人の設立は、公益性の高い事業である介護や福祉に携わる内容であり、社会貢献を目指す人々にとって重要な一歩です。この記事では、社会福祉法人を設立するための流れや必要な手続き、要件について詳しく解説していきます。

社会福祉法人の設立の流れ

「社会福祉法人」とは、社会福祉活動を行う非営利団体のうち、特定非営利活動促進法に基づいて認定・登録された法人です。

社会福祉法人は、地域の福祉の向上や社会の福祉充実に貢献することを目的として設立が可能となっています。

社会福祉法人は、営利法人ではなく、国の認可によって設置が認められた公益法人の位置付けですので、その運営状況を一般公開する義務があります。また、地域の有識者や福祉事業に携わる専門家等を役員及び評議員とした法人運営が必要不可欠です。つまり、透明性の高い法人として、社会的信用を得ることができます。

上記の通り、透明性と公益性の高さをもった法人であることから、税制上の優遇措置としての非課税対象が大変多く、労働環境の向上や、介護の質の向上等に経費を回すことができ、より質の高い、安定継続した運営が期待できます。

そういった社会福祉法人設立における一般的な流れは以下の通りです。

1. 設立するための事前準備

大前提として社会福祉法人としての以下の許可基準を満たすことが必要となります。

  • ・社会福祉法人の資産の有無(原則として1億円以上の基本財産)
  • ・目的とする社会福祉事業を行う必要を満たしているか
  • ・定款の内容および設立手続きが法令に違反していないか

この3つを満たす事が出来る場合、設立を進めましょう。

事前準備の流れとしては、以下の通りです。

①設立の目的や活動内容を明確にする

②必要な資金の確保や理事・監事・評議員の候補者の選定する

③設立準備会を立ち上げる

④定款の作成から認可手続きへ

ここでは、③・④の内容について詳細にお伝えしていきます。

《設立準備会とは?》
社会福祉法人の設立準備を行うために、設立予定者が組織する合意機関のことをいいます。

その中には“総会”、“代表者”、“監査機関”といった機関が存在しています。

・総会:設立準備会を構成する者全員による意思決定機関。
・代表者:総会において選出された1名。
・監査機関:設立に必要な費用を把握と、費用の適切使用を監査するための機関。設立後、幹事に就任予定する方が監査機関を担うのが一般的となっています。

《定款の作成とは?》
社会福祉法人の基本規程に関して、定款を作成する必要があります。

記載する事項には“必要的記載事項”“相対的記載事項””任意的記載事項”の3種類があります。

必要的記載事項とは…
法人の目的や名称、実施する社会福祉事業の種類など、その事項の記載が欠けている場合、その定款自体が無効になるような事項を規定するものです。相対的記載事項とは…
記載がなくても定款の効力に影響はないものですが、法令上、定款の定めがなければその効力を生じない事項事項を規定するものです。

任意的記載事項とは…
法令に違反しない範囲で任意に記載することができる事項を規定するものです。
※その事項が記載されていない場合は定款の有効性には影響を与えません。

厚生労働省が社会福祉法人の定款例を公表していて、必要的記載事項や相対的記載事項、任意的記載事項についても記載がありますので、下表と共にご参考ください。

出典:「社会福祉法人定款例」(厚生労働省)

必要的
記載事項
②法人の名称
③実施する社会福祉事業の種類
④事業所の所在地
⑤役員(理事・監事)に関する事項
⑥会議に関する事項
⑦資産に関する事項
⑧会計に関する事項
⑨評議会に関する事項
⑩公益事業の種類
⑪収益事業に関する事項
⑫解散に関する事項
⑬定款を変更するにあたって必要な事項
⑭公告の方法
相対的
記載事項
①評議会を置く場合に関する事項
②公益事業を行う場合の事業種類
③収益事業を行う場合の事業種類
④解散に関する事項
⑤理事の代表権を制限する規定
⑥業務の決定方法
任意的
記載事項
①役員外の役職設置を行う際の規定や
職員の任免に関する事項
②役員の欠員または補充に関する事項
③監事の職務に関する事項
④監事の兼職禁止に関する事項
⑤合併に関する事項

《定款の作成後は?》
定款の作成後は、所轄庁から認可を受ける必要があります。設立する社会福祉法人の事業規模によってどの所轄庁の認可を受けるか異なります。

・行う予定の事業が1つの区域内にとどまる場合
⇒対象となる区域の市長または区長に対して認可を求めます。

・事業が2つ以上の区域にまたがって行うことが想定される場合
⇒都道府県知事に対して認可を求めます。

・事業規模が広範囲に渡る/場所的な制約が存在しない場合
⇒厚生労働大臣に対して認可を求めます。

2. 法人格の取得

社会福祉法人を設立するには、法人格を取得する必要があります。これには、法務局への登記手続きが含まれます。法人格を取得することで、法人としての基本的な枠組みが整備されるのです。

登記に際しては、その法人の事務所の所在地を管轄する法務局内の登記所に対して行います。その際は以下のような流れが発生します。

・法人格取得後、設立認可書類を提出して設立を認可してもらう手続きが行われる

・設立認可書類には、設立趣旨や事業内容、財源見込み等が詳細に記載されている

・設立認可書類は地方自治体に提出され、担当部署による審査が行われる

・審査に合格すると、社会福祉法人設立が正式に認可され、設立認可書が交付される

このように法人の設立登記が完了すると社会福祉法人が成立することになります。ただし、その後もさまざまな手続きが必要です。

《さまざまな手続きの例》

  • ・第1回目の理事会の開催
  • ・評議員の選任(※評議員会を設置する場合は第1回理事会での選任が必要)
  • ・評議員会の開催(理事・監事の選任やその他の重要事項を決議)
  • ・不動産登記の申請(※土地や建物を所有する場合)

3. 設立認可書類の提出・申請

設立認可を受けるためには、所定の書類を提出し申請する必要があります。これには、法人の設立趣意書や設立認可申請書、理事・監事の履歴書などが含まれます。これらの書類を正確かつ適切に準備し、所轄の行政機関へ提出します。

その際に必要となる各種書類は以下を例にご参考ください。

《設立認可書類一覧》
①設立認可申請書
②定款
③設立当初の財産目録
④財産が法人に帰属することを証する書類
⑤法人に帰属しない不動産の仕様権限を証する書類
⑥設立当初の会計年度および次会計年度の事業計画書および収支予算書
⑦設立者の履歴書等
⑧役員就任予定者の履歴書等
⑨施設建設関係書類
⑩施設庁就任承諾書
⑪諸規定

4. 基本情報の登記

法人格を取得した後、基本情報を登記します。これには、法人の名称や所在地、目的、役員の名前などが含まれます。登記が完了すると、正式に社会福祉法人としての活動が開始されます。

社会福祉法人設立の要件

社会福祉法人を設立するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

1. 資産がある

社会福祉法人は、その活動を遂行するための資産を持っていることが求められます。適切な資金調達や寄付金の受け入れなど、持続可能な運営ができる体制を整えることが重要です。

2. 物件の所有権を有している

社会福祉法人が活動するための拠点となる物件を所有していることも要件のひとつです。物件の選定や取得、維持管理についても検討が必要です。

3. 理事・監事・評議員・会計監査人が必要

社会福祉法人は、適切な組織体制を持つことが求められます。理事や監事、評議員、会計監査人などの要員を適切に選定し、適正な役割分担が行われるようにすることが重要です。

社会福祉法人には、6名以上の理事と2名以上の監事、7名以上の評議員を設置しなければなりません。また、誰でもなれるわけではありませんので注意してください。

下記に理事と監事の要件を記載していますのでご確認ください。

《理事の要件》
①各理事と親族等の関係がある者が一定数を超えないこと
(※本人を含め理事総数の3分の1以下で、かつ3名以下)
②以下の者を全て含むこと
・事業区域における福祉の実情に明るい者(区長や自治会長、民生委員等)
・他法人の事業運営や理事経験者や、公認会計士、または当該法人の職員等
・社会福祉事業の経営に関する識見を有する者
・理事のうち、1名は、運営する事業の管理者(施設長)
《監事の要件》
①以下の者を全て含むこと
・社会福祉事業について識見を有する者
・法人業務監査を行える者
・財務管理について識見を有する者
・公認会計士や税理士等、財務監査を行える者(※左記以外の者も就任可)
②他の役員と親族等特殊の関係がない者
③施設整備や運営と密接に関連する業務を行うものではない者
(※法人の顧問税理士や顧問会計士などはNG)
④他の職務(理事、評議員、職員)を兼任しない者
《評議員の要件》
①社会福祉法人の適正な運営に必要な見識を有する者
(※適正な手続きで選任されるならば地域住民も可)
②他の役員との親族等特殊の関係がない者
③他の職務(理事、評議員、職員)を兼任しない者

社会福祉法人設立は厳しい?

社会福祉法人の設立には、さまざまな手続きや要件があります。「厳しい」と言われる理由は以下の通りです。

①資産要件が厳しい
◆社会福祉法人として施設運営を行う法人の場合
・事業を行うために必要なすべての物件(土地・建物)を所有していること。または、国もしくは地方公共団体から貸与や仕様の許可を受けていること
・貸与や使用許可を受けている場合、別途1,000万円以上の資産を有すること
・土地取得が極めて困難な地域(都市部など)については、国または地方公共団体以外からの貸与もOKだが地上権や賃借権を登記すること
※居宅介護事業、共同生活援助、地域活動支援などを行う場合、一定の要件(一都道府県内のみで事業を行う等)を満たす場合に限り、1,000万円以上に相当する資産を基本財産とすることが認められます。

◆施設を経営しない法人
・1億円以上(委託費等で安定的な収入が見込める場合、所轄庁が認める額)の基本財産を有していること
※居宅介護等事業、地域・共同生活援助事業等については、上記要件を緩和あり

②一定以上の運転資金が必要
・運営事業に応じて、年間事業費の12分の1や12分の2(障害児通所支援等)、12分の3(特別養護老人ホーム等)以上の運転資金を有すること

③建設等自己資金が必要
・必要金額を現金や預金等で準備しておくこと

④法人事務費が必要
・最低100万円以上の必要金額を現金や預金等で準備しておくこと

⑤法人設立時の寄附金に関する取り決めがある
・書面による贈与契約がなされていること
・寄付者の所得や資産状況等から、確実な寄付実行が証明できること

⑥借入金に関する事項
・法人設立時に施設建設費用として借入を予定している場合、償還計画を立て、返済が無理なく行われるものと示せること

上記以外の内容が発生する場合もありますが、これらの内容をきちんと満たすことができれば設立は可能です。

ただ、これからゼロスタートで社会福祉法人を設立するというハードルの高さは変わりないため、専門知識やアドバイスを得ながら進めることをおすすめします。

また、制度面や事業内容に収益性を考慮する場合であれば、社会福祉法人ではない法人格(株式会社や合同会社等)での法人設立を行うといった代替案を考えることも有益です。

まとめ

社会福祉法人の設立は、地域社会に貢献し、福祉活動を推進するための重要なステップです。事前の準備から法人格取得、認可手続き、要件の満たしに至るまで、正確かつ適切な対応が求められます。然しながら記載の通り、かなり複雑な作業を含むため、専門家によるコンサルティングを受ければ、第三者的な観点から有益なアドバイスを得られます。また、専門的な知識や豊富な経験によるノウハウを共有してもらえれば、今後の経営に役立ちます。

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将来的な活動のために、しっかりとした基盤を築きながら設立を進めていきましょう。

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