国からの補助金「社会福祉施設整備補助金」とは
国からの補助金として、最も大きいものが「社会福祉施設整備補助金」です。社会福祉施設を建設・整備するに当たって重要となる当制度について、詳しく解説します。
概要
「社会福祉施設整備補助金」とは、社会福祉施設(お年寄りや子ども、障害のある方々に福祉サービスを提供する施設)の整備にかかる費用の一部を、国や都道府県が助成する制度です。当助成金は、社会福祉団体が実施する事業を支援する目的で行われています。
対象となる施設
社会福祉施設整備補助金の対象となるのは、総じて、お年寄り、子どもや障害者に福祉サービスを提供する施設です。
主に、以下のような施設があげられます。
・保護施設
生活保護法第38条に基づく救護施設等
⇒例:救護施設、厚生施設、医療保護施設、授産施設、宿所提供施設等
・児童福祉施設
児童福祉法第7条に基づく障害児入所施設等
⇒例:助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所・幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター等
・障害者施設
障害者総合支援法第5条に基づく障害福祉サービス事業所等
⇒例:障害者厚生施設、障害者授産施設、生活施設、地域利用施設等
・その他の施設
社会福祉法第2条第2項に基づく社会事業授産施設等
⇒例:社会事業授産施設等
補助される金額
社会福祉法人等が施設を整備する場合、原則として国から整備費の2分の1、都道府県から4分の1が支給されます。
最大で、整備に要した費用の4分の3が補助されることになり、残りの4分の1が自己負担となりますが、独立行政法人福祉医療機構からの融資制度を利用できます。
手続きの流れ
「社会福祉施設整備補助金」は、各都道府県が募集しています。
おおまかな申請の流れとしては、施設整備計画を立案した後、自治体の担当部署との事前協議や独立行政法人福祉医療機構などへの事前相談を行います。
その後、事前協議書を提出し、入札手続や工事請負契約を締結し、工事着工後、補助金交付申請を行います。
「社会福祉施設整備補助金」を利用する際の融資制度について
「社会福祉施設整備補助金」を利用すると自己負担は4分の1となりますが、それでも多額の資金であることには変わりありません。資金繰りに困った際に活用できるのが融資制度です。ここからは、融資制度について詳しく解説します。
概要
「社会福祉施設整備補助金」で助成されない4分の1を、自己負担として準備できない場合に利用できる融資制度が、独立行政法人福祉医療機構より受けられます。
対象となる施設
当融資制度は、老人福祉施設や障害福祉サービス、在宅サービス事業などが対象で、中小企業や個人は対象外となります。
具体的には、以下のとおりです。
・障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス(生活介護、就労移行支援、就労継続支援、施設入所支援等)
・保育所、幼保連携型認定こども園、児童養護施設、障害児入所施設などの児童福祉施設
・在宅サービス事業
対象となる資金
融資を受けられる資金としては、設置・整備資金が対象となります。
具体的には、以下がとおりです。
・設備備品整備資金(機械器具、備品などの整備資金)
・土地取得資金
融資の限度額・利率
基準事業費より法的・制度的補助金等を控除した金額に融資率をかけた金額が限度となります。融資率は、施設・事業により70%・75%・80%の場合があります。また、利率としては、貸付契約時の利率が適用されるため、金融情勢に応じて変わります。
国以外にもある!民間団体による社会福祉法人への補助金
国からの補助金以外にも、企業・団体などの民間団体による助成金もあります。施設事業や研修事業、ボランティア活動への支援など、幅広く助成を受けられます。
ただし、単発のものが多いため、こまめに情報を確認する必要があります。また、申請期間は1~数ヶ月のものが多く見受けられます。
社会福祉法人が補助金を受けるときの注意点
補助金は収入とみなされるため、税金がかかります。支給された額を全額使えるわけではないので、注意が必要です。また、補助金を受けるには審査を通過しなければなりませんが、支給が決定され、通知書が届いた時点で会計を計上する必要があります。
なお、補助金は審査通過後、1年~1年半が経過して初めて取得できるものが多いです。入金までに時間がかかるため、資金繰りが悪化する会社も見受けられるので、補助金とは別に、融資などを検討することも大切です。
まとめ
社会福祉施設を設立・整備する際には、補助金を上手に活用することは欠かせません。一方で、補助金は、施設整備にかかる費用負担を軽減する助けになりますが、すぐに資金繰りを改善できるわけでもありません。社会福祉法人の資金繰りで悩んでいるなら、福祉コンサルティングを受けてみるのもよいでしょう。
専門家によるコンサルティングを受ければ、第三者的な観点から有益なアドバイスを得られます。介護業界は他の産業と異なる特性があるため、介護業界のことをよく知る専門家に相談するのがベストです。専門的な知識や豊富な経験によるノウハウを共有してもらえれば、今後の経営に役立ちます。
土屋総研は、日本全国で福祉に携わる株式会社土屋グループの総合研究部門です。福祉サービスを利用する方の地域生活を維持することを目的として、共に地域を支える同業者へのコンサルティングも比較的安価で行っています。
土屋グループは、多数の事業承継、M&A実績や、同業者へのコンサルティング実績があり、グループ内にも人材教育研修機関を有しているなど、事業の立て直しや資金繰りなど、社会福祉法人が抱える悩みに対応しています。そのほかえ、人材不足の解消や後継者不足、事業承継、事業の買収・譲渡(M&A)など総合的なサポートが可能です。ぜひご相談ください。