訪問介護の初回加算で知っておくべき基礎知識をわかりやすく解説

スタッフの負担を軽減し、働きやすい職場にするためには、業務の改善が不可欠です。この記事では、介護業務を改善させるメリット、そして働きやすい環境にするためのアイデアを紹介します。


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訪問介護では、利用者との信頼関係が必要不可欠です。特に初回訪問の際は、相手とのコミュニケーションの図り方やニーズの把握など、やるべきことが多いですよね。実は初回訪問には、加算がつくのをご存じでしょうか?この記事では、加算の要件や単位数、注意点などをご紹介します。

訪問介護の初回加算とは

初回訪問とは文字通り、あらたに訪問介護計画を作成した利用者に対して、はじめて訪問介護を行った場合を指します(詳しくは後述の「初回加算の算定要件」をご参照ください)。

初回加算は、
①職員が利用者と初めて接する際の負担をやわらげること
②適切なサービス提供を促すこと
の2点を主に目的としています。

利用者の状況把握や信頼関係の構築には、労力や時間がかかります。初回加算は、そういった点を考慮して算定される制度です。

なお、対象となる利用者は、新しくサービスを提供する方に限りません。訪問介護のサービス提供を一定期間受けていなかった方や、要介護から要支援に変更になった利用者、反対に要支援から要介護に変更となった利用者も、加算の対象になることがあります。

訪問介護の初回加算の算定要件

初回加算の主な算定要件は、以下の通りです。

・新規に訪問介護計画を作成している

・歴月で過去2か月の間、当該訪問介護事業所からのサービス提供実績がない
(例)4月15日に利用者に指定訪問介護を行った場合…同年2月1日以降、当該事業所から指定訪問介護の提供を受けていなければ、初回加算が適用されます。

・加算の算定要件や趣旨について、事前に重要事項説明書などを用いて利用者に説明し、同意を得ている

・初回もしくは初回に実施した訪問介護と同月内にサービス提供責任者が自らサービスを行う、または他の訪問介護員がサービスを行う際にサービス提供責任者が同行している

ただ、上記の要件を満たしていても、加算の対象にならないケースがあります。詳しくは記事後半の「初回加算の注意点」や「よくある質問」もご参照ください。

初回加算(訪問介護)の単位数

初回加算は、初回訪問を行った月に一度だけ200単位を算定することができます。単位数は、基本単位数に上乗せする形で適用されるのが一般的です。

初回加算(訪問介護)の算定率

算定率は以下の通りです。

・初回加算(事業所ベース)…51.96%
・初回加算(回数ベース)…0.21%
・初回加算(単位数ベース)…0.14%

訪問介護の初回加算を正しく算定するためのポイント

初回加算を検討する際は、以下のようなポイントにも留意しましょう。

・利用者が複数の訪問介護事業所と契約している場合でも、初回加算は取得できます。
…例えば介護予防訪問介護を利用していた方が、要介護認定の更新に伴って一体運営の訪問介護事業所からサービスを受ける場合も、初回加算を算定できます。

・サービス提供責任者が訪問介護員に同行した場合は、必ずしもはじめから終わりまで滞在する必要はありません。利用者の状況を確認し、同行した旨をしっかり記録に残せば、途中で退席しても構いません。

・退院時共同指導加算との併用算定はできません。

・訪問看護の利用が医療保険から介護保険へ変更された場合は、加算対象になりません。

訪問介護における初回加算の注意点

ここまで初回加算の概要や留意点を紹介してきましたが、実は細かい条件は自治体や事業者によって異なります。勘違いによる申請漏れやミスがないよう、必ず手続きの前に詳細を確認しておきましょう。

初めて訪問介護を利用するケースや、前回の訪問から2か月以上空いているケースでも、加算対象とならない場合があるため、注意が必要です。必要な記録や適用期間も、事前に確認しておくと良いでしょう。

また、加算単位数は通常の訪問介護の単位数に上乗せする形で適用されます。混乱が生じないよう、あらかじめ正確な数字を把握しておきましょう。

訪問介護の初回加算に関するよくある質問

ここからは、初回加算に関してよくある質問と回答を紹介します。

 

初回加算に利用者の同意は必要か?

算定には、利用者の同意が必要不可欠です。

厚生労働省は、介護保険施設等に対する実地指導の運用指針の中で、訪問介護事業者への指導項目を明記しています。内容は多岐にわたりますが、そのうちのひとつに「利用者や家族への説明や同意手続きを取っているか」という項目があります。

初回加算は、要件を満たしていれば、自動的に適用されるものです。そのため、利用者側にそのつど説明する必要はないものの、事前に各サービス内容や費用、加算の趣旨について同意を得ておく必要はあります。重要事項説明書や利用契約書をしっかり準備し、あらかじめ利用者または家族の署名・捺印をいただきましょう。

 

ケアマネジャーが変わるときに初回加算は算定可能か?

算定は不可です。初回加算は、あくまで利用者の状況に変化があったかどうか、そしてあらたに訪問介護計画を作成したかどうかがポイントとなります。ケアマネジャーが交代しても、事業所としては改めて訪問介護計画を作成する必要がないため、初回加算の対象にはなりません。

 

初回加算の算定要件の新規はどういう意味か?

初回加算は、主に訪問介護計画を作成するのにかかる労力と時間をかんがみて算定されるものです。そのため、算定要件である「新規」は、新たに訪問介護計画を作成したかどうかがポイントとなります。

当該事業所とはじめて契約した利用者は、もちろん「新規」に該当します。

また、歴月で過去2か月の間、当該訪問介護事業所からのサービス提供実績がなく、改めて訪問介護計画を作成する必要がある場合も、初回加算で言う「新規」に当てはまります。

まとめ

加算は、事業所の運営やサービスの幅を広げる重要なツールです。今回ご紹介した初回加算は経営面でプラスになるだけではなく、新規利用者の獲得を目指すうえでひとつのモチベーションにもなり得ます。せっかくであれば、事前に情報を集めてしっかり準備し、確実に算定したいところです。手続きの漏れや認識不足がないよう、慎重にリサーチしましょう。

ただ、算定要件が複雑で混乱してしまったり、負担に感じたりすることもあるかもしれません。そんな時は、第三者によるコンサルティングも有効です。加算のメリットや具体的な手続き、必要な書類などについて、専門家から助言が得られます。

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