介護報酬ファクタリングとは?メリットや手数料、利用する流れも解説

介護事業への新規参入を検討しているものの、資金調達に頭を悩ませている経営者の方も多くいるかと思われます。事業を立ち上げたばかりでスピーディーな資金調達が必要な際とき、介護報酬の早期の現金化を考えているときは、介護報酬ファクタリングが役立ちます。 この記事では、審査のハードルが低く、少ない手数料で早期の資金調達ができる介護報酬ファクタリングについて解説します。


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介護報酬ファクタリングとは?

介護報酬ファクタリングとは、介護報酬債権(いわゆる売掛金)をファクタリング会社に売却・譲渡して現金化することで資金調達できるサービスのことです。

介護事業者は、介護報酬を国民健康保険団体連合会(国保連)に請求しますが、通常は請求してから2ヶ月後に振り込まれます。介護報酬ファクタリングを利用すれば、その前に資金化でき、資金繰りに有用なサービスとなっています。

介護報酬ファクタリングの仕組み

介護報酬ファクタリングは、介護報酬債権の譲渡であることから負債ではありません。介護報酬債権をファクタリング会社に譲渡することで、資金を調達します。

売掛先が公的機関(国保連)のため信用度も高いことから、手数料も安く、審査にも通りやすいのが特徴です。ここでは、介護報酬ファクタリングの仕組みについて解説します。

手数料

介護報酬ファクタリングを利用する際は、ファクタリング会社に介護報酬債権を譲渡し、手数料を差し引いた分の資金を受け取ります。

つまり、ファクタリング会社に手数料を支払うこととなりますが、手数料の相場は0.25~1%と割安です。ただし、前払い額は請求額の80%程度が上限となり、残額は後払いで受け取ることになります。

入金方法

ファクタリング会社に請求した数日後、遅くとも2週間以内に、まず8割程度が入金されます。これが1回目の前払い金です。

そして、国保連からファクタリング会社に支払われた後に、残りの2割程度が振り込まれます。つまり、上記の2回に分けて入金されることになるのです。

流れ

介護報酬ファクタリングの大きな流れとしては、事業者、ファクタリング会社、売掛先(国保・社保)の3者間でのやり取りとなります。

一般的な3者間ファクタリングと大まかな流れに違いはありません。

【手順】
1.介護事業者がファクタリング会社に介護報酬債権の譲渡を申し込む。
2.介護事業者とファクタリング会社が契約する。
3.介護事業者とファクタリング会社が連名で国保連に介護報酬債権の譲渡を通知し、承諾を得る。
4.介護事業者は、ファクタリング会社から請求額の約8割を受け取る(1回目の入金:前払い)
5.国保連がファクタリング会社に介護報酬を支払う。
6.介護事業者は、ファクタリング会社から残額を受け取る(2回目の入金:後払い)

このような流れで、介護事業者は、早期に介護報酬を現金化できます。

介護報酬ファクタリングを利用するメリット

介護報酬ファクタリングを利用するメリットは、以下の3点です。

・早期の資金調達
・安価な手数料
・ハードルの低い審査

それぞれ、以下に詳しく解説します。

介護報酬の受け取りを早められる

通常、介護報酬は国保連への請求から2ヶ月後に入金されます。しかし、この2ヶ月の間にも人件費や施設運営費などは待ったなしで発生し、資金繰りに苦労している事業所や、新規の事業所では頭を抱える問題です。

介護報酬ファクタリングを利用すれば、請求から数日後、遅くとも2週間以内に入金され、早期の資金調達が可能となるので、資金繰りや安定した経営の維持に大いに役立ちます。

手数料の相場が安い

一般的なファクタリングの手数料は2~20%と高額ですが、介護報酬ファクタリングの相場は0.25~1%程度と、手数料が非常に安いのが特徴です。これは、資金回収先が国の機関であることから未回収となるリスクが低いため、手数料も低く設定されているのが大きな要因です。

手数料が安いため、介護事業所も自社の経営を圧迫することなく、資金を調達できます。

審査に通りやすく気軽に利用できる

介護報酬ファクタリングは、審査に通りやすいのも大きなメリットです。

例えば、金融機関から融資を受けるには、保証人や担保等も必要となり、審査に時間もかかるなど、ハードルが高い傾向にあります。

一方、介護報酬ファクタリングであれば、売掛先が国の機関であり、資金の回収自体は国保連から行うので、介護事業者の経営状況はあまり重要視されません。

国保連が倒産する可能性がほぼないことから貸し倒れのリスクもなく、審査のハードルは非常に低くなり、金融機関からの融資に比べて審査が格段に通りやすくなっています。そのため、新規開業の事業者でも申し込みやすく、資金不足を防ぐことができます。

介護報酬ファクタリングを利用する際の注意点

早期の資金調達や手数料の安さ、審査のハードルの低さから、介護報酬ファクタリングはメリットの大きいサービスといえますが、利用に当たっては注意点を押さえておくことも必要です。

まず、手数料がかかるので請求金額の満額は受け取れないことです。安い手数料とはいえ、本来受け取れるはずの報酬額は必然的に少なくなります。また、代金は2回にわたり振り込まれるので、一括で手数料を差し引いた全額を受け取ることはできません。

そして、一旦導入すると、すぐに資金を調達できる便利さゆえに、ついつい利用しすぎてしまう可能性もあることです。手数料も積み重なれば高額になっていくので、本来入るべきはずの資金を考えると繰り返しの利用には注意が必要です。

介護報酬ファクタリングの利用を停止すると、国保連からの次の入金までかなりの間が空くことになり、次第に繰り返し利用せざるを得ない状況に陥ることも考えられるため、計画的な利用が大切です。

まとめ

介護報酬ファクタリングは早期の資金調達を可能にする非常にメリットのあるサービスですが、介護事業所の設立等には資金調達の他にも専門的知識が欠かせません。介護業界は他の産業と異なる特性があるため、新規で介護事業を始めたい方、開業における資金調達などについてお悩みの方は、介護業界のことをよく知る専門家に相談するのがベストです。

専門家によるコンサルティングを受ければ、第三者的な観点から有益なアドバイスを得られます。また、専門的な知識や豊富な経験によるノウハウを共有してもらえれば、今後の経営に役立ちます。

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