経営コンサルタントの依頼料金はどのように決まる?契約形態や料金相場を解説

経営上の問題や課題を抱える事業所は多く存在します。そうした事業所において、介護スタッフや利用者をどのように集めればよいか、またどのように売上を伸ばせるかなど、さまざまな課題を解決するのが介護経営コンサルタントです。 また、新たに介護事業への参入を考える際も、介護経営コンサルタントに相談することが可能です。この記事では、経営コンサルタントの依頼料金や相場、契約形態について解説します。


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介護業界で経営コンサルタントに相談すると費用は高い?

経営コンサルタントに相談すれば、事業所で課題を解決するよりも、トータルでのコストを削減できる可能性があります。

業務効率化を図りたい、M&Aを検討したい、売上を伸ばしたい、運営(実地)指導対策を行いたいなど、介護課題が明確になっている方にはおすすめです。

経営コンサルタントの料金体系

経営コンサルタントは、専門的な視点から、経営者が抱える悩みに向き合い、解決手段を提案します。経営コンサルタントの料金体系(契約形態)は大きく4種類に分けられます。

①プロジェクト契約

プロジェクト契約は、特定の経営課題に対してコンサルタントの依頼をし、規定の報酬を支払うものです。

料金は、基本単価×従事時間によって決定します。基本単価はコンサルタント会社が設定しているもので、事前に単価が提示されます。

従事時間は短期間あるいは中長期的に進めていくものなど、各経営課題によって異なりますが、比較的オーソドックスな形態です。

②時間契約

時間契約は、業務の遂行にかかった時間に応じて料金を支払うものです。短期間あるいは単発でコンサル業務を依頼する際などに利用されます。

報酬額はコンサルタント会社によって大きく異なります。

③成果報酬契約

成果報酬契約は、コンサルティングの成果に応じて報酬を支払うものです。初期段階で報酬の半分程度を支払い、目的が達成されると残額を支払うケースが多く見られます。

主に明確な達成目的が決まっている場合に利用すると良いでしょう。どのような結果が成果に当たるのかを具体的に決めておくことが、トラブルを防ぐためにも重要になります。

④顧問契約(アドバイザリー契約)

顧問契約(アドバイザリー契約)は、特定のプロジェクトではなく、経営全般を中長期的にコンサルしてもらう際に利用されます。定期的に会議に参加したり、個別相談に応じたりする相談役という形の契約が多い傾向にあります。

また不定期で、相談事がある際に随時、適切なアドバイスをいただく契約なども可能です。料金は依頼頻度や契約期間によってさまざまです。

経営コンサルタントの料金相場

経営コンサルタント料金は、契約時の料金体系によって異なります。ここでは、相場料金について、体系別に解説します。

①プロジェクト契約の料金相場

月換算で10万〜100万円ほど、総額で300万円〜800万円ほどが相場となります。

中小企業が半年のコンサル依頼を行った場合に総額300万円前後、1年間で500万円以上になることもあります。また、従業員数が多い企業では、800万円以上となることもあります。

ただし、プロジェクトの規模や期間、難易度によって料金は変動します。

②時間契約の料金相場

対面の場合、時間単価で3万円〜10万円前後が相場となりますが、オンラインであれば1時間5,000円前後で依頼できる場合もあります。一般的な契約スタイルではありますが、コンサルタントの経歴やスキル、コンサルファームの規模によって料金は変動します。

③成果報酬契約の料金相場

事前の取り決めによってケースバイケースとなりますが、難易度の低いプロジェクトであれば、100万円〜200万円で依頼が可能です。具体的には、売上利益の〇パーセント、新規顧客数×〇万円という形で算出されます。

大プロジェクトであれば、数百万円~数千万円という報酬になることもあるでしょう。ただし、報酬条件を明確にしないとトラブルの原因になることから、注意が必要です。

④顧問契約の料金相場

経営コンサルタントの場合、月1〜2回程度の訪問で、30〜60万円が相場となります。大手コンサルタント会社への依頼では、費用がさらに高くなる可能性もあります。
なお、相談回数や契約期間によって、料金は変動します。

経営コンサルタントの依頼料金を左右する要素

経営コンサルタントの依頼料金は期間やプロジェクトの規模によって様々に変動しますが、ここでは、依頼料金を左右する要素について解説します。また、コストを無理なく抑えるコツも併せてご紹介します。

①料金体系・契約形態

前述したように、コンサルタントを依頼する際には、プロジェクト契約・時間契約・成果報酬契約・時間契約等の契約形態、料金体系の違いにより、依頼料金は変動します。依頼内容と予算に合わせ、最適な形態を使い分けることが重要です。

②依頼人数

依頼するコンサルタントの人数によっても料金は変動します。大規模プロジェクトであれば、複数のコンサルタントに依頼する場合もあります。そうすると、費用は大幅な増額となります。

自社内で取組んだ場合の半分以下の人員基準でコンサルタントを依頼すると、費用対効果も高くなるでしょう。

③コンサルティング会社の方向性

コンサルファームの規模や依頼内容の難易度、専門知識の可否によって料金は大きく変動します。例えば、大手のコンサルタント会社ではブランド力やネットワークの広さなどで費用も高くなりがちです。

最近では医療、介護、ITなど、特定の領域に特化した専門のコンサルティング会社も増えつつあります。

介護業界における経営コンサルの事例

ここでは、介護業界に特化した経営コンサルタントの最新の事例を2つ紹介します。

赤字脱却のための業務効率化

一つ目は、業務効率化に対するコンサルティングです。事例として、人件費率が高く、要因として過剰人員体制の傾向が挙げられる事業所を取り上げます。

まず、当該事業所を現状分析するため、日課表・シフト表を精査します。その後、改善計画を策定し、会議体や申し送り方法など業務効率化を図り、職員配置人数を再検討します。 収支シミュレーションにより、退職後の人員追加を行わないことで黒字化に転ずる見込みが立ったため、実行へと移していく流れです。

経営コンサルを利用するメリットは、経営上の課題は何か、課題が起きている原因を客観的な視点から知れることです。コンサルタントの指摘により実情を把握すると、行き詰まりの解消や、習慣を変えるきっかけにもなります。

小規模多機能居宅介護の開業支援

二つ目は、小規模多機能居宅介護の開業(改修型)支援を取り上げます。経営コンサルティングでは、まず開業のために数パターンの収支計画を作成します。

利用者のイメージを確定し、事業所の人員体制を検討します。次いで、既存の事業所を見学するなどして、開業時のサービス内容やシフト作成を行います。また、法人内の連携を強化し、開業から6ヶ月で登録数を定員まで確保する道筋を整え、実行に移る流れです。

適切な収支計画ができると、追加融資を受けることなく、開業ならびに経営安定までつなげることも可能です。

経営コンサルを利用するメリットとして、社員教育マニュアルの作成、研修のノウハウなど、専門的な知識を得られるため、スムーズな開業や経営につながります。

介護コンサルティングとは?費用の相場やコンサル会社の選び方について

まとめ

赤字経営でお悩みの経営者や、介護業界への新規参入などをお考えの経営者の方は多くいらっしゃると思います。介護業界は他の産業と異なる特性があるため、介護業界のことをよく知る専門家に相談するのがベストです。専門家によるコンサルティングを受ければ、第三者的な観点から有益なアドバイスを得られます。また、専門的な知識や豊富な経験によるノウハウを共有してもらえれば、今後の経営に役立ちます。

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