
【要旨(エグゼクティブ・サマリ)】
本稿は、株式会社土屋の重度訪問介護事業「ホームケア土屋」のクライアントを対象に、土屋総研が実施した第7期顧客満足度(CS)調査の結果を報告するものである。重度訪問介護領域におけるサービス品質は、その密室性やクライアントの多様な障害特性から客観的評価が困難とされてきた。
本調査では、顧客ロイヤルティの総合指標としてNPS(Net Promoter Score)を採用するとともに、期待品質と知覚品質の差分を測定するCSI(Customer Satisfaction Index)ギャップ分析を導入した。さらに、サービス品質を「結果品質」「対人品質」「プロセス品質」「管理品質」の4次元でモデル化し、重回帰分析および構造方程式モデリング(SEM)を用いて検証を行った。
分析の結果、いずれの品質次元においてもクライアントの知覚品質は事前の期待品質を上回っており、現場レベルのプロセス品質(サービス提供時間の厳守等)と結果品質(家族の介護負担軽減等)において、特に高い評価を得られていることがわかった。一方で、NPSを最も強く規定する要因は「管理品質(組織的サポート体制)」であり、同品質は他の品質と比べて事前の期待値とのプラスのギャップが小さく、今後、事業として優先的に改善リソースを投下すべきであることが明らかになった。
本稿の分析は、重度訪問介護事業において「属人的なケア」から「組織的サポート体制」への転換が必要であることを示唆している。
目次
第1章:調査の背景と目的
1.1. 重度訪問介護におけるサービス品質評価の難しさ
重度訪問介護は、重度の肢体不自由や知的障害、精神障害により常に介助を必要とするクライアントに対し、居宅における入浴、排せつ、食事の介護から外出時における移動支援などを総合的に提供するサービスである。これはクライアントの生活や生命維持に直結するインフラ的性質を持つ一方で、密室性の高いケア環境、クライアントの多様な障害特性とニーズの個別性、日常生活全般を継続的に支援するというサービスの性質等に起因して、サービス品質の客観的な測定や評価が困難な領域とされてきた。
1.2. 本調査の目的(NPSおよびCSI指標の導入によるサービス評価)
ホームケア土屋では、クライアントが当社のサービスおよびアテンダントに対して抱く期待と、実際に知覚している品質を定量的に把握し、事業運営に対する具体的かつ実践的な示唆を得ることを目的として、第7期顧客満足度(CS)調査を実施した。本調査では、以下の2つのアプローチを採用している。
- 顧客ロイヤルティの測定: 総合指標としてNPS(Net Promoter Score)を導入し、顧客定着および推奨意向を測るKPIとした。
- サービス品質のギャップ分析: CSI(Customer Satisfaction Index)の概念を応用し、顧客が事前に抱いていた期待品質(Expectation:E)と事後に知覚した品質(Perception:P)のギャップ(P – E)を測定することで、改善優先度を明確化する手法を用いた。
1.3. 仮説モデルの構築
本調査の設計にあたり、無形かつ個別性の高い重度訪問介護のサービス品質を客観的に測定するため、以下のプロセスを経て評価指標を策定した。
まず、CS調査の基礎理論や主要な評価指標、対人直接支援サービスにおけるCS調査事例などをレビューした。次に、前述のレビュー内容を参照しつつ社内での議論を行い、ホームケア土屋の重度訪問介護サービスの目的と実態に即した評価指標と質問項目を検討した。具体的には、実際のケア現場で行われている支援プロセスや、クライアント(利用者)・アテンダント(現場の訪問介護職員)・事業所(管理者、サービス提供責任者)の三者間のリレーションを整理しながら、「サービス提供側が重視している要素」と「クライアントが求めている要素」のすり合わせを試みた。その結果、本調査ではサービスの品質を構成する要素を以下の4次元(結果・対人・プロセス・管理)に集約した。
- 結果品質(Quality of Outcome): QOLの向上・維持、健康状態の安定性、家族の負担軽減など
- 対人品質(Quality of Interaction): アテンダントの共感性、専門性、丁寧な対応など
- プロセス品質(Quality of Process): 介助技術の正確性、時間厳守、連絡の分かりやすさなど
- 管理品質(Quality of Administration): 緊急時の迅速な対応、チーム内の情報共有、管理者への相談のしやすさなど
さらに、これらが総合的な顧客ロイヤルティ(NPS)にどのような影響を及ぼすかを検証するため、「現場レベルの『対人品質』『プロセス品質』と、組織レベルの『管理品質』の3つが土台となり、それらが『結果品質(クライアントのQOL向上等)』を生み出し(媒介し)、最終的に『NPS(推奨意向)』を高める」という因果関係の仮説モデルを構築した(図表1)。
図表1 顧客ロイヤルティとサービス品質の因果関係仮説モデル

第2章:調査概要と回答者属性
2.1. 調査対象と手法
- 調査対象: ホームケア土屋のサービスを利用中のクライアントご本人(家族等による代理回答可)
- 調査期間: 2025年11月〜2026年1月(※募集開始は2025年11月〜12月)
- 調査手法: WEBアンケート(QRコード、メール、LINE配信)および書面(調査票郵送等)による回答
- 有効回答数: 283名(目標回答数200〜300名に到達)
2.2. 設問構成と内容
本調査では、上記の仮説モデルを検証するため、以下の流れでアンケート画面(調査票)を設計した。
- 基本情報: 居住地域、利用事業所、利用期間、他社事業所の併用数
- NPS(推奨意向): サービスを友人や知人にどの程度おすすめしたいか(0〜10点の11段階評価)
- 事前期待(CSIギャップ分析用): 利用開始前にどの程度の期待を持っていたか(全く期待していなかった〜非常に高い期待を持っていたの4件法)
- 各種品質スコア(図表2): 結果・対人・プロセス・管理の4次元に基づく具体的なサービス評価(全くそう思わない〜強くそう思うの4件法)
- その他: 改善要望や土屋ならではの強み(自由記述)、各種相談窓口の認知度など
図表2 各種品質スコアを測る質問概要
| 品質カテゴリ | 設問文(概要) |
| 結果品質(6問) | QOLの向上・維持/主体的な生活・活動/不安の軽減・生活の安定/重大トラブルなし/社会的交流の継続/家族の負担軽減 |
| 対人品質(3問) | 傾聴・寄り添い/専門的知識・態度/対応の一貫性・丁寧さ |
| プロセス品質(3問) | 介助技術の正確性/時間の正確性/連絡・説明の分かりやすさ |
| 管理品質(3問) | 緊急時の迅速な対応/チーム内の情報共有/管理者への相談のしやすさ |
回答負荷を軽減しつつ統計的な分析に耐えうる精緻なデータを取得するため、中心となる品質評価の設問はすべて「どちらともいえない」という中立的な選択肢を排除した「4件法(強制選択法)」を採用している(外出支援、家族介護負担軽減に関する質問のみ、「該当しない」の選択肢を用意)。
2.3. デモグラフィック特性
回答者の属性として、利用期間は「3年以上」が最も多く(約37%)、次いで「1年以上〜2年未満」(約24%)であった。また、他社の重度訪問介護事業所との併用状況については、「0事業所(土屋のみ利用)」が最多(約24%)であった。地域別の回答分布は、関西ブロック、関東ブロックなど全国の事業所から広くサンプルを収集している(図表3)。
図表3 回答者のデモグラフィック特性

第3章:尺度構成と信頼性・妥当性の検証
3.1. 探索的因子分析による因子構造の確認
本調査では、重度訪問介護におけるサービス品質を測定するため、前述の「結果品質」「対人品質」「プロセス品質」「管理品質」の4つのサブスケール(全15項目)を設定した。これらの構成概念妥当性を確認すべく、全15項目に対して探索的因子分析(主因子法、プロマックス回転)を実施した。
分析の結果、固有値の推移から実証的には「3因子構造」が示唆された。これは、重度訪問介護という密室性の高いケア環境において、クライアントの認知上「対人品質」と「プロセス品質(あるいは結果品質の一部)」が厳密に区別されず、包括的な「現場でのサービス品質」として一体的に知覚されている可能性を示している。
3.2. クロンバックのα係数による尺度の信頼性評価
一方で、当初設定した4つのサブスケールごとに内的整合性(尺度の信頼性)を確認した結果、以下の通りすべての尺度においてクロンバックのα係数(Cronbach’s α)は許容水準とされる0.7を上回った。
- 結果品質(6項目): α = 0.866
- 対人品質(3項目): α = 0.823
- プロセス品質(3項目): α = 0.747
- 管理品質(3項目): α = 0.856
また、各項目に対する「項目が削除された場合のCronbachのアルファ」を確認した結果、削除によって信頼性が改善する項目はなかった。したがって本稿では、事業所での実践的な改善アクションへの接続のしやすさ(実務的有用性)を重視し、実証された因子構造も念頭に置きつつ、調査開始時に設定した「4品質・15項目」の理論的枠組みをそのまま採用して以後の分析を行うこととした。
第4章:CSIギャップ分析:期待品質(E)と知覚品質(P)の比較
4.1. 全体傾向および基本統計量
本調査で設定した4つの品質次元(結果・対人・プロセス・管理)ごとに、サービス利用前の期待品質(E)と現在の知覚品質(P)の平均値の差分(ギャップ:P – E)を算出した(図表4)。
対応のあるt検定を実施した結果、いずれの品質次元においても「P > E」であり、その差は統計的に有意であった(p < .001)。これは、ホームケア土屋のサービスが、ただの偶然による誤差ではなく、クライアントの事前の期待を上回る価値を提供できていることを示している。
図表4 品質次元ごとの知覚品質と期待品質のギャップ
| 品質次元 | 質問数 | 知覚品質(P) | 期待品質(E) | Gap(P – E) |
| プロセス品質 | 3問 | 3.34 | 2.68 | 0.66 |
| 対人品質 | 3問 | 3.2 | 2.68 | 0.52 |
| 管理品質 | 3問 | 3.09 | 2.68 | 0.41 |
| 結果品質 | 6問 | 2.89 | 2.68 | 0.21 |
※いずれの品質次元においても「P > E」かつ(p < .001)
4.2. 全15項目のギャップ分析と実務的解釈の妥当性
さらに詳細な傾向を把握するため、全15項目それぞれのギャップスコアを算出した(図表5)。
なお、本分析において各項目間のギャップスコアの大小を単純比較することについては、項目間で直接的な有意差検定を行っていない点や、心理的尺度の等間隔性の問題など、統計学上の限界が存在する。しかしながら、本調査の主たる目的は、事業運営における「改善の優先順位」を特定することにある。したがって本稿では、実務的なマーケティング・リサーチの通例に則り、これらのギャップスコアの相対的な大小を「事業所の強みと弱みを可視化する参考指標」として扱い、考察を進めることとする。
図表5 品質を測る全15項目の知覚品質と期待品質ギャップ一覧
| 品質次元 | 設問概要 | 知覚品質(P) | 期待品質(E) | Gap(P – E) |
| 結果品質 | QOLの向上・維持 | 3.26 | 2.68 | 0.59 |
| 結果品質 | 主体的な生活・活動 | 3.22 | 2.68 | 0.55 |
| 結果品質 | 不安の軽減・生活の安定 | 3.25 | 2.68 | 0.58 |
| 結果品質 | 重大トラブルなし | 3.37 | 2.68 | 0.7 |
| 結果品質 | 社会的交流の継続 | 3.2 | 2.68 | 0.53 |
| 結果品質 | 家族の負担軽減 | 3.52 | 2.68 | 0.85 |
| 対人品質 | 傾聴・寄り添い | 3.35 | 2.68 | 0.67 |
| 対人品質 | 専門的知識・態度 | 3.2 | 2.68 | 0.53 |
| 対人品質 | 対応の一貫性・丁寧さ | 3.27 | 2.68 | 0.6 |
| プロセス品質 | 介助技術の正確性 | 3.28 | 2.68 | 0.6 |
| プロセス品質 | 時間の正確性 | 3.64 | 2.68 | 0.97 |
| プロセス品質 | 連絡・説明の分かりやすさ | 3.31 | 2.68 | 0.63 |
| 管理品質 | 緊急時の迅速な対応 | 3.26 | 2.68 | 0.59 |
| 管理品質 | チーム内の情報共有 | 3.21 | 2.68 | 0.54 |
| 管理品質 | 管理者への相談のしやすさ | 3.09 | 2.68 | 0.41 |
※図表5中の各数値は、Excelの ROUND 関数(小数第2位、0.5は切り上げ)を用いて処理している。知覚品質(P)および期待品質(E)はそれぞれの平均値を個別に丸めて表示しているため、表示値同士の差(P表示値 − E表示値)はギャップ欄の値と一致しない場合がある。ギャップ(Gap)欄の値は、丸め処理前の平均値同士の差を算出したうえで小数第2位に丸めたものであり、こちらが分析上の正値である。実質的な差異は最大0.02ポイント程度にとどまり、項目間の相対的な大小関係や本稿の考察に影響を与えるものではない。
4.3. 強みの特定と改善課題の抽出
前表のギャップスコアを確認すると、事前の期待を最も大きく上回った項目は、「サービスは約束された時間に正確に開始・終了したか(プロセス品質)」であり、次いで「ご家族の精神的・身体的な負担軽減に役立っているか(結果品質)」であった。これは、当社のサービスが「生活インフラとしての信頼性」と「家族のレスパイト(休息)効果の創出」において、顧客の期待水準を上回る価値を提供できていることを示している。
一方で、全15項目のうち、事前の期待値とのプラスのギャップが最も小さく留まった項目が、「管理者は困ったときに相談しやすい存在か(管理品質、Gap +0.41)」であった。
第5章:ロイヤルティ(NPS)の規定要因(ドライバー)分析
5.1. NPSの分布状況と総合評価
本調査における総合的な顧客ロイヤルティを示すNPSは、全体で -12.1ポイントとなった。スコアの分布状況は、「推奨者(9〜10点)」が約25%、「中立者(7〜8点)」が約38%、「批判者(0〜6点)」が約37%であった。
一般的に、日本の消費者はアンケートにおいて中間的な評価を好む傾向(中心化傾向)が強く、NPSの平均値はマイナス(-30〜-50ポイント程度)となることが多い(※注)。
これを踏まえると、本調査における「-12.1ポイント」というスコア、および利用者の4人に1人が「知人に強く推奨したい」と回答している事実は、重度訪問介護という提供難易度の高いサービス領域において、一定の信頼関係とロイヤルティ基盤が構築されていることを示している。しかし同時に、批判者層の存在も無視できない割合であり、推奨意向を規定するドライバーの特定が重要となる。
※注
アンケート回答における日本の消費者の「中心化傾向(Central Tendency Bias)」および極端な評価の回避については、Harzing(2006)等の国際比較研究でも実証されている。また、NPSの開発元であるBain & Company(邦訳2013、原著2011)や、国内の各種業界ベンチマーク調査においても、日本企業のNPS平均は欧米と比較して低く、マイナススコアとなることが一般的な水準として認知されている。
5.2. 重回帰分析による重要要因の特定
顧客ロイヤルティの総合指標であるNPSを目的変数とし、4つの知覚品質尺度を説明変数とする重回帰分析を実施した(図表6)。分析の結果、決定係数(補正R2)は 0.911 と高い説明力を示し、モデル全体としての有意性が確認された(優位F <0.05)。
各品質尺度のNPSに対する標準偏回帰係数(β)および有意確率(p値)は以下の通りである。
- 管理品質:β = 0.373 (p < .001)
- 結果品質:β = 0.220 (p < .001)
- プロセス品質:β = -0.165 (p = 0.128, n.s.)
- 対人品質:β = 0.123 (p = 0.278, n.s.)
この結果から、NPSに対して最も強く、かつ統計的に有意な正の影響を与えているのは「管理品質(管理者への信頼やチーム内情報共有)」であり、次いで「結果品質(QOL向上や家族の負担軽減)」であることが明らかとなった。現場の「対人品質」や「プロセス品質」は単独での有意な影響は確認されず、ロイヤルティ向上においては「事業所としての組織的な対応力」が決定的なドライバーであることが示唆された。
図表6 NPSと知覚品質の重回帰分析


5.3. 構造方程式モデリング(SEM)による因果モデルの検証
上記の因果メカニズムをより精緻に検証するため、構造方程式モデリング(SEM:AMOSを使用)によるパス解析を実施した。当初の仮説として「対人・プロセス・管理品質が『結果品質』を媒介してNPSに影響を与える」という因果モデルを想定したが、適合度指標(CMIN/DFなど)から十分な当てはまりは確認されなかった。
一連の統計解析結果は、重度訪問介護サービスにおいて「現場ヘルパーの献身(対人)」や「時間厳守(プロセス)」ならびに「QOLの維持(結果)」は、顧客にとってすでに当たり前の前提条件(衛生要因)として機能していることを示している。推奨意向(ロイヤルティ)を強く牽引するためには、それらを組織的に下支えし、欠員時等にも不安を感じさせない「管理者のサポートと体制の強固さ(管理品質)」が直接的に問われているという構造が浮き彫りとなった。また、第4章で示した通り、管理品質のうち「管理者は困ったときに相談しやすい存在か(Gap +0.41)」という項目は、事前の期待値とのプラスのギャップが最も小さく留まっていた。以上のことから、今後の事業運営において、管理品質の改善にリソースを優先投下すべきと考えられる。
第6章:地域ブロック別の品質評価の差異
各品質尺度の評価が、クライアントの居住する地域(ブロック)によって異なるかを確認するため、クラスカル・ウォリス検定(Kruskal-Wallis test)を実施した。
分析の結果、多くのブロック間で統計的な有意差は認められなかったものの、平均順位において特徴的な傾向が確認された(図表7)。「管理品質」における各ブロックの平均順位を比較すると、東海ブロックの平均順位(106.6)が、他ブロック(122.1〜150.4)と比較して一貫して低いパフォーマンスを示した。同様の傾向は他の品質尺度でも散見され、特定のエリアにおけるマネジメント体制や組織的なサポート機能の整備に課題が潜在している可能性が示唆された。
図表7 ブロック別の管理品質平均順位

第7章:自由記述(定性データ)によるメカニズムの考察
定量的な統計解析によって浮き彫りになった構造的メカニズムの背景を探索するため、自由記述設問の定性データを分析した。
7.1. 管理品質低評価の背景にある「バックアップ体制」の課題
管理品質において低評価(1〜2点)を付与した層のコメントを抽出した結果、不満の対象はアテンダント個人のスキルではなく、「欠員時の代替スタッフ手配の不備」や「管理者による現場状況の把握不足と引継ぎの欠如」に集中していた。これは、クライアントが「事業所としてのリスクマネジメント機能」に対して強い不安を抱いていることを示しており、SEMモデルで示された「管理品質がロイヤルティを直接的に規定する」という因果構造を定性的に裏付けるものである。
7.2. 高ロイヤルティ層が評価する「サービスの柔軟性と、個に寄り添うケアの姿勢」
一方、推奨者(NPS9〜10点)のコメントからは、短時間利用や急な依頼など、他社が敬遠しがちなケースにも対応する「制度の隙間を埋める柔軟性」や、言語による意思疎通が困難なクライアントの「視線や表情を読み取ろうとする人間味あるケア」が高く評価されていた。これらは、事業のコア・コンピタンスとして強固なロイヤルティの源泉となっていると言える。
第8章:結論と事業運営への実践的示唆
本調査の分析結果から、ホームケア土屋は、アテンダントの技術的正確性や時間厳守といった現場レベルの基礎的なサービス品質において、クライアントの期待を上回る高い水準を実現していることが確認された。また、それが結果としてクライアントのQOL維持や家族のレスパイトに大きく寄与している。
しかしながら、顧客ロイヤルティ(NPS)をさらに向上させ、サービスブランドを確立するための鍵は、「アテンダント個人の献身(属人的なケア)」から、「チーム体制による支援(組織的なサポート体制)」への次元の転換にあることが示された。
特に、ロイヤルティの最大決定要因である「管理品質(緊急時の対応力、チーム内の情報共有、管理者への相談のしやすさ)」に対する期待とのギャップを埋めることが急務である。具体的には、アテンダント休業時のバックアップ体制の確実な構築や、現場と管理者のコミュニケーション頻度・質の向上といった、組織的な介入によるマネジメント機能の強化が、実践的な改善アクションとして強く求められる。
株式会社土屋 https://tcy.co.jp/
土屋総研 https://tcy-ri.com/
調査担当者、レポート文責:鈴木悠平
調査・分析アドバイザー:影山 摩子弥
土屋総研では、障害福祉分野の調査研究や政策提言、セミナー等を実施しています。本記事で報告した重度訪問介護事業所のCS調査をはじめとする、各種調査のご依頼を承っております。以下の問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。