【横浜市社会福祉協議会 高齢福祉部会 生活介護研究会】高齢者虐待のメカニズム

高齢者虐待のメカニズム
~虐待の要因を把握し、事業所・個人での取り組みの選択肢を増やす~

横浜市社会福祉協議会 高齢福祉部会 生活介護研究会 研修会より土屋総研にて依頼を受け、株式会社土屋 常務取締役・高浜将之が「高齢者虐待のメカニズム」について講演を行いました。

開催レポート

自身の20年以上に及ぶグループホームでの認知症介護ならびにホーム長・介護事業統括責任者等の経験より、虐待の起こる背景と、それを防ぐ取り組みについて、事業所と個人それぞれの観点から具体的に解説しています。

「虐待を防ぐために何ができるのか」、介護従事者・管理者に必見の充実した内容で、参加者からも高い評価が得られました。

登壇者

高浜将之(株式会社土屋 常務取締役・地域密着型サービスゼネラルマネジャー・高齢者地域生活推進員会委員長)

開催概要

主催:横浜市社会福祉協議会 高齢福祉部会 生活介護研究会 研修会

目的:高齢福祉「認知症の方へのアプローチについて」に関する研修会

開催日時: 2024年2月20日

開催場所:横浜市健康福祉総合センター(桜木町)およびオンライン

対象:横浜市内の高齢者施設の職員

テーマ

虐待の要因を把握し、事業所・個人での取り組みの選択肢を増やす

講演内容

  1. 客観的に見る介護業界
  2. 虐待を防ぐ事業所の取り組み
  3. 虐待から自分を守る取り組み

講演内容の概要

1 客観的に見る介護業界

介護業界を取り巻く背景に、長きにわたって続く「人材不足」が挙げられますが、こうした中で介護事業所では採用条件を緩和せざるを得ない現状があります。

不安定な人材の流入もみられる一方、介護の仕事自体は精神的負担が大きいものでもあります。

本講演では、介護の仕事の負担を5つのトピックに分類し、利用者が有する「負の感情」や、教育の課題などについて解説しました。

また、介護自体が“生活の延長の仕事”であるがゆえに、仕事用の自分と、本来の自分自身との区別が曖昧になるという、ケアワーカーが陥りやすい精神的負担について詳しい説明がなされました。

2 虐待を防ぐ事業所の取り組み

昨今、介護業界における虐待事件がニュース等で頻繁に報道されていますが、それらは氷山の一角にすぎず、至る所で日常的に虐待事案が起きていることは想像に難くありません。虐待問題は、介護業界における大きな課題となっています。

本講演では、虐待を防ぐために事業所がなすべき具体的な対策について言及されました。

とりわけ、各事業所において、クレド(企業全体の従業員が心がける具体的な信条や行動指針)を現場に合わせて作成し、実行することの有効性を取り上げています。

事業所の理念をかみ砕き、ケアワーカーの行動レベルにまで一つ一つ落とし込むことによって評価基準を明確にし、職員間の“ずれ”を減少させることでストレス軽減に大いに役立つことが示されています。

また、クレドを根付かせるための方法として、土屋グループで実際に使用されているシートを元に、具体的に解説しています。

一人一人のケアワーカーが実践すべきことについてまとめられた「振り返りシート」など、土屋グループで大きな成果を上げている内容物は、様々な介護事業所が“明日から取り組めるもの“として、参加者からも高い評価が得られました。

3 虐待から自分を守る取り組み

介護職は過負荷のかかる仕事であり、夜勤帯や忙しい時、プライベートに課題を抱えている時などに、“思わず”虐待しそうになった経験のあるケアワーカーも少なくないと思います。

自身が虐待加害者にならないための対策が、いま個々人で必要とされています。

本講演では、高齢者虐待の50%以上を占める認知症者を例に、ケアワーカー自身が取り組むべき対策について、「知識、技術の向上」と「ストレスマネジメント」の観点から解説しています。

ケアワーカーは日々の対応・業務に追われる中で、利用者の行動、とりわけストレスを感じる行動(食事を取らない、暴言を吐く、至る所で排泄するなど)に“即座に”対応することが常態化していますが、それが虐待や不適切なケアを引き起こす要因であることは間違いありません。

そのため、「対応する」前に「考える」癖をつける必要性、ならびにそのための具体的な方法として、「知識の向上と定着」が示されました。

どれほど忙しくとも「対応」する前に「知識」のフィルターを通して「考える」ことで、冷静に客観的に利用者と対応することができ、イライラが減って自身をコントロールすることが可能になります。それゆえ、不適切なケアが減少し、虐待から自分を守ることができます。

専門性の欠如が生み出す“不適切なケア”を防ぐために、本講演では、土屋グループで用いられている「アセスメントシート」を元に、知識の向上および定着を図るための具体的な訓練方法について解説しています。

また、「ストレスマネジメント」に関しては、短期的対処法・長期的対処法に分けて言及されました。

高浜将之への講演依頼は土屋総研へ

虐待は、事業所・個人を問わず、「いつでも起こりかねない」という危機認識をもつことは重要であり、質の高いケアを目指すことでそれを未然に防ぐことが可能になります。

株式会社土屋 常務取締役・高浜将之は、認知症グループホームにおいて、ホーム長・介護事業統括責任者を務め、有限会社のがわ代表取締役を経て、現在は株式会社土屋の常務取締役・地域密着型サービスゼネラルマネジャーならびに高齢者地域生活推進員会委員長を務めています。

20年以上にわたる認知症ケアの経験、また介護福祉士、認知症介護指導者、東京都第三者評価評価員等の資格を活かし、介護業界のよりよい未来に向けて介護サービスの質の向上に貢献すべく、数々の講演を行っています。

高齢者介護、認知症等に関する講演をご希望の方は、ぜひ土屋総研へご連絡ください。



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