介護と経済10 雇用ビジネスをどうすべきか1 

目次

雇用ビジネスをどうすべきか1

株式会社土屋顧問/土屋総研特別研究員
影山 摩子弥

雇用した障がい者をサテライトオフィスや農園で預かる雇用ビジネスが問題となってきました。では、なくしてしまえばよいのでしょうか?サテライトオフィスは、リモートワークではありうることです。農業は障がい者に合っているとよく言われます。問題とされている点を解決できれば、就労の選択肢になる可能性はあると思われます。

問題点を振り返り、対策が考えられないか検討していってみましょう。

【問題点1】雇用した企業のかかわりが希薄なので、労働条件等に問題が生ずる。

[サテライトオフィスの場合の対応策]

雇用した企業の担当者が、1日1回以上はサテライトを訪ね、仕事の指示をしたり、障がい者の状況を確認したり、仕事の進捗状況を確認し障がい者と打ち合わせをしたりすることが考えられるでしょう。

[農園型の場合の対応策]

農園の場合、会社の所在地から相当の距離があるケースも少なくありません。1日に何度も通うことは難しい場合、農園担当を決め、通う必要があるでしょう。

【問題点2】健常者社員がサテライトの障がい者と接することがないので、障がい理解が進まない。

[サテライトオフィスの場合の対応策]

サテライトのスペースは限られているので、毎週1日は最低でも本社に出社し、健常の社員たちと打ち合わせをしたり、作業を行ったりする方法もあると思います。

[農園型の場合の対応策]

日興みらんのように、障がい者と一緒に農作業を行うことによって障がい理解を促す研修を行う方法があります。日興みらんの研修では、障がい者が健常者に農作業を教えるところから作業が始まります。この点は重要です。障がい者と健常者が接する際、健常者の方が知識や技術を多く持っていて障がい者に教える・指導する構図になりかねません。それでは、「やはり障がい者はできない人たち」という先入観を助長させかねません。日興みらんの場合、障がい者が指導することで、対等な関係、もしくは、障がい者の方がスキルが高い・知識が多いという構図を作ることができます。

【問題点3】健常者社員がサテライトの障がい者と接することがないので、健常者の労働生産性が上がるシナジー効果が生じない。

[対応策]

シナジー効果のポイントは接触です。サテライトオフィス型でも農園型でも、業務の打ち合わせや障がい理解を促す研修などで障がい者と健常者の共同作業が行われるのであれば、健常者社員の労働生産性を高める可能性があります。

接触は、打ち合わせをする、一緒に仕事をするといった深い接触である必要があります。社内で見かけたり、挨拶をしたりする程度では、シナジー効果は期待できません。ただ、長期にわたる必要はありません。筆者のゼミで行った実習では、半日程度の作業でも、学生たちの障がい者に対する印象が変化し、障がい者に対する積極姿勢が高まりました。ただ、本当にシナジー効果が生まれているか、データを取って検証する必要はあります。

【問題点4】障がい者が市場性のない仕事をしている(農産物が本社の社員に無償で配布されている)。

[サテライトオフィス型の場合の対応策]

サテライトオフィス型は、企業で行っている業務を切り出すので、市場性がある仕事が行われていると言えます。ただし、会社にとって、社会にとって役に立つ仕事をしていることが障がい者に伝わっていて、やりがいや仕事に対する満足感につながっている必要があります。したがって、障がい者の仕事満足度の調査も必要となってきます。

[農園型の場合の対応策]

農産物はそれほどの量が安定的に確保できるわけではないと思いますので、農協が扱うのは難しいかもしれません。しかし、街中でよく見かける農産物の販売所のようなところで販売する手もあります。

会社の社員食堂で、10皿限定のサラダなど限定メニュー向けに使うこともあり得ます。この場合、食材を外から買わずに社内で調達している、つまり内製化を図っているので、市場性はあると言えます。社内の掃除を外部に依頼せず、内部で行うのと同じです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次