介護と経済11 雇用ビジネスをどうすべきか2 

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雇用ビジネスをどうすべきか2

株式会社土屋顧問/土屋総研特別研究員
影山 摩子弥

【問題点3】健常者社員がサテライトの障がい者と接することがないので、健常者の労働生産性が上がるシナジー効果が生じない。

 [対応策]

シナジー効果のポイントは接触です。サテライトオフィス型でも農園型でも、業務の打ち合わせや障がい理解を促す研修などで障がい者と健常者の共同作業が行われるのであれば、健常者社員の労働生産性を高める可能性があります。

接触は、打ち合わせをする、一緒に仕事をするといった深い接触である必要があります。社内で見かけたり、挨拶をしたりする程度では、シナジー効果は期待できません。ただ、長期にわたる必要はありません。筆者のゼミで行った実習では、半日程度の作業でも、学生たちの障がい者に対する印象が変化し、障がい者に対する積極姿勢が高まりました。

ただ、本当にシナジー効果が生まれているか、データを取って検証する必要はあります。

【問題点4】障がい者が市場性のない仕事をしている(農産物が本社の社員に無償で配布されている)。

[サテライトオフィス型の場合の対応策]

サテライトオフィス型は、企業で行っている業務を切り出すので、市場性がある仕事が行われていると言えます。ただし、会社にとって、社会にとって役に立つ仕事をしていることが障がい者に伝わっていて、やりがいや仕事に対する満足感につながっている必要があります。したがって、障がい者の仕事満足度の調査も必要となってきます。

[農園型の場合の対応策]

  1. 農産物はそれほどの量が安定的に確保できるわけではないと思いますので、農協が扱うのは難しいかもしれません。しかし、街中でよく見かける農産物の販売所のようなところで販売する手もあります。社内で、健常者社員向けに販売する手もあります。
  2. 会社の社員食堂で、10皿限定のサラダなど限定メニュー向けに使うこともあり得ます。この場合、食材を外から買わずに社内で調達している、つまり内製化を図っているので、市場性はあると言えます。社内の掃除を外部に依頼せず、内部で行うのと同じです。
  3. 三重県四日市市にある日帰り温浴施設が設置した就労継続支援A型事業所では、シイタケやイチゴなどを作っています。イチゴなど一部の農産物は市内のケーキ屋に卸していたりしますが、温浴施設で出す食事の材料として使っています。つまり内製化を図っています。ケーキ屋に卸す分だけではなく、温浴施設で使う分も合わせて市場性があるといってよいです。
  4. また、鉄工所ですが、多角化の一環で、高齢者のデイサービスや介護を行う施設を運営している(株)ヒラマツでは、農園も経営していて、高齢者施設で作る食事の食材として供給しています。
  5. 本社の健常者社員に販売するのではなく無償で配布した場合でも市場性がある状態を作ることはあり得ます。どういう場合かというと、野菜を受け取って社員の会社に対する求心力(障がい者を雇用していてよい会社だと思う気持ち)や仕事のやりがいがUPすれば、それは、社員の業務パフォーマンスにつながり、会社の業績にもつながりますから、人材を育成したのと同じ効果があります。この場合、市場性があるといってよいでしょう。

【留意点】

  1. シナジー効果や社員の満足度を測定する指標を考え、データを集め、分析する必要があります。
  2. 障がい者が農作業の仕事に満足しているかどうか、売れたことをどう思っているかもデータを集め、障がい者の満足度も高めているかを検証する必要があります。
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