介護と経済12 サービス業としての介護 

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サービス業としての介護

株式会社土屋顧問/土屋総研特別研究員
影山 摩子弥

【介護の産業分類】

介護という分野は、高齢者が対象でも障がい者が対象でも、経済学でいうと第3次産業に分類されます。いわゆる、サービス産業です。

第1次~第3次の各分類の下は、大分類、中分類、小分類、細分類が設定されています。第3次産業の場合、大分類としては、「F 電気・ガス・熱供給・水道業」や「G 情報通信業」などがあり、介護の領域は 「P 医療、福祉」に区分されますFとかGというアルファベットは、第1次産業の大分類「A 農業、林業。」から続いているものです。

第3次産業の大分類「P 医療、福祉」の下にある中分類のうち、介護の事業は「85 社会保険・社会福祉・介護事業」です。85という番号は、やはり、「01 農業」から続いているものです。さらに小分類としては、高齢者介護と障がい者の介護が分かれてきて「854 老人福祉・介護事業」と「855障害者福祉事業」がそれぞれ該当します。そして、それぞれの下には細分類があり、高齢者に関しては、「8541特別養護老人ホーム」、「8543通所・短期入所介護事業」、「8544訪問介護事業」など7つの細分類があり、障がい者に関しては、「8551居住支援事業」と「8559その他の障害者福祉事業」の2つがあります。

障がい者に関わる「8551居住支援事業」は、障害者支援施設、ケアホーム、グループホームなどがあります。「8559その他の障害者福祉事業」には、生活介護事業所や自立訓練事業所などがあります。

なお、産業構造の変化を反映し、産業分類はそのつどに見直されています。直近の改定は、2023年6月の第14回改定で、2024年4月1日施行です。

【介護の職業分類】

なお、産業分類は、事業所が行う事業によって分けられていますが、似たような分類はもう1種類あり、「職業」の分類があります。こちらも何度か改定されてきており、2022年4月に新しい職業分類が公表されました。それを受けて、2023年3月20日からハローワークで使用する職業分類が変更されています。

職業分類も、大分類、中分類、小分類とあり、大分類は15、中分類は99、小分類は440に分けられています。介護職は大分類でいえば「08 福祉・介護の職業」に分類されます。この大分類には、「049 福祉・介護の専門的職業」「050 施設介護の職業」「051 訪問介護の職業」の3つの中分類があり、「049 福祉・介護の専門的職業」は「049-04 障害者福祉施設指導専門員」や「049-07 介護支援専門員(ケアマネージャー)」、「049-08 訪問介護サービス提供責任者」など11あり、「050 施設介護の職業」は「050-01 高齢者入所施設介護員」や「050-03 障害者福祉施設介護員」など4つ、「051 訪問介護の職業」は「051-01 訪問介護員」と「051-02 訪問入浴介助員」の2つとなっています。

【サービスとは?】

介護はサービス産業に分類されることはわかりました。では、サービスとは何でしょう?

「サービスしときますね!」「このお菓子はサービスです」という言い回しがあります。その場合、「おまけする」、「無償で提供する」といった意味合いになりますが、サービス産業のサービスにはこのような意味はありません。サービスは、日本語に訳すと「用役(ようえき)」とか「役務(えきむ)」などとなり、無形の財貨を意味します。介護の労働は、物質的な財貨を作りません。したがって、サービスに分類されます。一方、物質的な財貨は「財」と表現されます。製造業で生み出されるものが典型的な財です。人間が生み出すものは、物質的な財か、非物質的なサービスかのいずれかです。それゆえ、「財とサービス」などというわけです。

サービスが、無償で提供するという意味と非物質的な財貨であるという意味を持つのは、サービスが奴隷や奴隷状態を意味するラテン語のservusないしservitusからきているためです。奴隷は、生産活動等様々な活動を担いましたが、主人のために労働(役務)を提供し、奉仕します。それがサービスという言葉に反映されたと考えられます。

さて、サービスが非物質的財貨を生む労働であるため、経済学の中では、「価値を生まない労働」とされ、「非生産的労働(もしくは不生産的労働)」と表現されることになりました。その結果、高く評価されない可能性が生じました。回を改めてこの点をお話ししましょう。

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